
小林洋光氏(アデコ執行役員CLO)の言葉丨目次
メモしたい法務の言葉とは?
小林洋光氏(アデコ執行役員CLO)の言葉
私はもっと経営や事業部に対して顔の見える法務になれ、と主張しています。
―小林洋光氏(アデコ執行役員CLO)
名取勝也=小林洋光=登島和弘「3年後のあるべき企業法務の姿―人材・組織・テクノロジーの視点から考える未来像」ビジネス法務2025年11月号Ⅵ-Ⅶ頁
中堅組織内弁護士による分析(個人的な考え)
小林氏が指摘される「私はもっと経営や事業部に対して顔の見える法務になれ、と主張しています。」という言葉については、日本を代表する多くのリーガルリーダーの方々が、表現は異なるにせよ、繰り返しチームに伝えている重要なメッセージであると考えています。
確かに、キャリアの初期、いわゆる1年生や若手の頃は、課長や部長からの指示を受け、リーガル部門内で対応することが中心になります。その後は、リーガル部門の上司や事業部門の比較的年齢の近い方々がお客様となることもあるでしょう。
しかし、係長や課長、さらには部長へと昇進し、外資系企業でいえばシニアカウンセルやリードカウンセル、そしてアソシエイト・ジェネラルカウンセルなど経営に近い役職へ進むにつれて、いかに経営の意思決定の中心に近いビジネスをクライアントとして支え、何かあった際にその人の「懐刀」として意思決定を後押しできるかが、極めて重要なポイントになってきます。
もちろん、書類やメールの裏方として支える役割も欠かせません。しかし同時に、何か問題が生じたときに真っ先に顔を思い浮かべてもらい、信頼をもって相談していただける人間関係を築くことが不可欠です。なぜなら、ビジネスのスピードが加速し、リスクが複雑化する中で、メールや書面だけでは十分に伝えきれない情報が増えているからです。
実際に、メラビアンの法則など心理学やコミュニケーション論の研究によれば、人が相手から受け取る情報の大部分は非言語的要素(表情や声のトーンなど)に依存しており、書面だけでは伝えられる情報量に限界があるとされています。したがって「顔が見えるコミュニケーション」を意識することは、複雑なリスクを経営とともにハンドルしていくうえで、非常に重要な意味を持つのです。
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(了)
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