24年4月 社外役員就任のご報告(こちら)

それ法務の仕事やない、広報の仕事や丨リーガルリスクマネジメントの教科書みんなの相談室(6)丨営業時間 火曜朝

1. 本日の相談室(火曜日朝のみ営業)

若手の組織内弁護士の方

渡部先生、相談があります。

相談内容 聞いてください。最近、他部門が法務部の役割について誤解していることがあり、無理な要求をされることが多いです。例えば、なぜか広報部からプレスリリースのURLチェック使用している画像のライセンスチェック誤字脱字チェック・脚注のドラフトまでお願いされています(内心、あなたの部署の仕事でしょって思っています)。法務部の役割と限界を他部門に正しく理解してもらう方法はありますか?

わたなべ

共感 今回のご相談も「う…わかる(涙)」と思いました。きっとご質問者様も責任感が強く、内心では「あなたの部署の仕事でしょっ」ってイライラしながらも、期待にこたえてしまって、断りきれていないのではないでしょうか。前回同様、今回の根底にも「フェアではない」という仕事の押しつけられた感がお気持ちとしてあるのではないかと拝察しております。これは人間として自然なお気持ちで、何ら否定されるべきものではないと考えています。


私なりに心を込めた回答 大切な悩みのご相談、改めて、ありがとうございます。私にも盲点があると思うのですが、アイデアのご提供として、以下をシェアさせてください。

  1. way of working セッションの開催:まず、他部門のチームを対象に、法務部・相手方の部の基本的な役割と責任範囲についてセッションを開催することをお勧めします。これは、法務部の業務がどのようなものであるか、また何を期待されるべきではないかを明確にする機会となります。というのは、コーポレートの業務は、当然、重なり合っているので、パズルのように全部のピースが隙間なくうまることはありません。だからこそ、ふわっとしている部分について、会話をすることが大切です。リーガルリスクマネジメントにおいてもすべての過程で「協議・コミュニケーション」が求められるように、ここでも会話が最初の第1歩です。
  2. Zone 1, 2, 3の共有と合意:私も同じ経験があります。ある人によっては、他部門の仕事に「領空侵犯」されていると感じる方もいますし、逆に、本件のように「あなたがうちの玄関まで掃除してあたりまえ」的な近隣関係を想起させるような勝手な期待が生じています。Airbnbですごく役立ったのは、上記1と似ていますが、セッションを設けて、Zone 1-3 (それぞれの部署の職域)について確認をする機会でした。簡単に言えば:
    • Zone 1:侵害されない法務の職域(法務のコアの仕事:プレスリリースで言えば記載の法的な正確性―M&Aや会社法関係のプレスリリースなど)
    • Zone 2:他部門と重なり合う職域(法務と広報の仕事が重なり合うエリア:プレスリリースの画像の使用許諾チェック―結論、どちらの仕事でもいいが、割り振りを話し合っておく)
    • Zone 3:法務が口をだすべきではない職域(言い換えれば他部署のZone1―どのメディアに記者レクをおこなうかなど)
  3. さて、誤字脱字チェック ですが ☞ 100%正解はないと思いますが、私の感覚では、広報の仕事だと思います。私達法務部は「校正家 (proof reader)」ではないからである。皆様はどう思われますか? 

教科書該当箇所 渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書182-185頁(日本加除出版、2023)

2. お悩み相談箱(投稿は以下から受け付けております)

※お寄せいただいた大切なご相談にはできるかぎり目を通しております一方で、すべてのご質問やご相談を掲載したり、個別にご回答できるものではないことをご了承ください。上記ご了解の上でご連絡頂きますようお願いします(メールフォーム)。なお、法律相談は承っておりませんので、法律相談先のご相談は最寄りの法テラスまで、お願い致します。

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<後日更新いたします>

[リーガルリスクマネジメントの教科書とは?]

日米の法務の知恵がここに融合。法律家・法務部門のポテンシャル、総開花。
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正解のないワクワクする法務へ
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リスクの解像度を上げてチャンスに変える!スタートアップも必携
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まさか、マンガにしてしまうとは! 革新的なリスクテイクの教科書
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イノベーションに関わるすべてのロイヤーにとって必読の書
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『リーガルリスクがあります』を卒業し、ビジネスと伴走していくための教科書
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 -瀧 俊雄 氏(株式会社マネーフォワード執行役員CoPA)
イノベーションを起こすには、主人公のような法務パートナーが必要です
 -吉兼 周優 氏(株式会社Azit 代表取締役CEO)
社会の前進を生みだす「イネーブル法務」に生まれ変わること間違いなし
 -門奈 剣平 氏(株式会社カウシェ 代表取締役CEO)
DeNA 時代から「事業部の懐刀」であった戦友の手紙だ
 -大見 周平 氏(株式会社Chompy 代表取締役)

(※順不同:肩書は2023年2月時点:個人の見解です)

https://www.kajo.co.jp/c/book/07/0701/40940000001

(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。

渡部推薦の本丨足りない、は補えばいい