本日の「ハーバード・ビジネス・レビューを読もう」の目次
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Zach Mercurio (2025). The Power of Mattering at Work – Improving everyday interactions can promote employee retention, engagement, growth, and well-being, Harvard Business Review, 103(3), 100-109.
マタリング(mattering)とは?丨わかりやすくまとめてみる
<わかりやすくまとめてみる>
本論文は「合唱団づくり🧑🤝🧑」の例で考えるとわかりやすいかもしれません。
└ 「マタリング(mattering)」とは「自分は価値を認められ、実際に価値を生んでいる」と実感する経験であり、人間の根源的欲求と定義されています。
└ 「所属」とは、単に「合唱団に席がある🪑」ことですが、「マタリング(mattering)」は「自分の声が必要とされ、実際に合唱を良くしている🧑🤝🧑♥️」と実感できることです。
└ 指揮者が練習のたびに各パートの声をよく聴き、具体的に強みを称え、期待を添えて改善点を伝え、楽曲全体の中で自分の一節がどこに効いているかを示すほど、離脱は減り、完成度は上がります。
要するに、毎日の短いやり取りで「あなたの声が合唱をつくっている🧑🤝🧑♥️」と伝え続けることが、従業員の「定着」と「業績」を同時に高める最短ルートと本論文は説明しています。多分。以下、全3回にわけて詳細に学んで参りましょう。
誤解があれば恐縮ですが、離職率の高い法律事務所/法務部門、「若手・中途採用者がたびたび離脱する」部署・チームは、本論文に掲げられていることを「やっていない」かひどい場合には「正反対のこと」を行っていたりしませんか?
マタリング(mattering)とは?丨本日のポイント
最後に、筆者は、全社へ拡張する4段階:意図・技能・測定・環境の手順を提示します。
- 個人スキルを全社文化にするには、①意図の明確化(人を手段化せず「人そのものを目的」と捉える)、②技能の特定と訓練(「気づく・肯定する・必要性を示す」を日常行動に落とし込む)、③測定と説明責任(自己評価とチーム評価。「1〜5」で15項目を採点する自己診断など「Mattering Tool Kit」を活用)、④環境最適化(評価・昇進で配慮行動を報いる)の4段階が必要であると説く。
- United AirlinesではCEO Oscar Munozが就任直後に「傾聴ツアー」を実施したと筆者は述べる。
- 客室乗務員Amyの「いつも『ごめんなさい』と言うのに疲れた」という訴えを起点に勤務条件と運航品質を是正、同社の顧客満足・従業員エンゲージメント・運航指標は上位に浮上し、在任期間に株価は約50%上昇した。
- American Express Global Business TravelではSVP Mark Rudeの下、「気づく・肯定する・必要性を示す」具体行動を明文化した「How People Matter Here」を実装した。結果として、離職率を50%低減、その効果は1.5年持続し、エンゲージメントも有意に改善したと筆者は述べる。
- 著者は、短いデジタル通信が常態化した今こそ、面談・小休憩・会議前後の数分といった微細な場での人間的相互作用を再設計し、上司との接触時間の確保と「聞いた後の行動」を制度化すべきだと結論づけている。
マタリング(mattering)について、30秒考えてみよう。
- 皆さんはどう思われますか?
- 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
- この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(Web版は月1−2記事無料で読めるので、探してシェアしてみてはいかがでしょうか?)
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(了)
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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。
(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。