デジタルプラットフォーマー取引透明化法の論点

「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)の論点 」と題する資料が11月7日(木)付で公開されているため共有いたします。以下は本文からの抜粋となります。

ポイントは「特定デジタル・プラットフォーム」の部分。既に公取委が大規模な調査を実施して取引実態が明らかとなった①オンラインモール(楽天、Yahoo、Amazonなど)及び②アプリストア(Google、Appleなど)のうち「大規模」なものを「当面の対象」とする線に落ち着くかです。

本文には「※以下の規律は全て、特定デジタル・プラットフォームに対してのみ適用することを想定。 」との記載があるためです。

論点1.規律の対象についての考え方

<デジタル・プラットフォーム>

まず、法律の対象となる「デジタル・プラットフォーム」については、デジタル・プラットフォームが急速に発展し重要な基盤となる理由として指摘されている特徴を踏まえて要件を検討していくべきではないか。

<特定デジタル・プラットフォーム>

その上で、デジタル・プラットフォームの中で、特別な規律の対象となるもの(以下「特定デジタル・ラットフォーム」という。)は、各種調査によって取引実態が明らかとなっているオンラインモール及びアプリストアのうち、規模の大きいものを当面の対象とする方向でよいか。

論点2.取引の透明性・公正性の確保についての考え方

※以下の規律は全て、特定デジタル・プラットフォームに対してのみ適用することを想定。

<基本的な考え方>

変化の速いデジタル市場においてイノベーションを阻害しない形の規律として、特定デジタル・プラットフォームについては、情報開示と自主的な取引環境の改善を促進する規律を設け、定期的なモニタリングを行う Pledge and Review の仕組みを採用してはどうか。

(1) 個別の取引事業者に対する取引条件の開示

例えば取引事業者に対して、以下のような事項を開示させることが有効か。


<開示事項のイメージ(例)>

  1. 取引拒絶(アカウント停止等)をする場合にあらかじめ通知をする旨とその方法
  2. ストア内検索/ランキングの表示順を決定する主要な要素
  3. デジタル・プラットフォーム企業が利用者に関するデータを取得・使用する場合、その内容及び取得・使用に関する条件
  4. 問合せ、苦情等への対応に関する事項(窓口、処理フロー等) 

(2) 事業者による取引環境改善の促進

A 自主的な取引環境改善
特定デジタル・プラットフォームの提供者の自主性を尊重するため、本法案による強制は最小限とする一方で、特定デジタル・プラットフォームの運用状況について自己評価を求め、不断の改善を求めることとしてはどうか。

B 取引における遵守事項
例えば以下のような行為に対応する規定を設けるべきではないか。

<対象となりうる行為(例)>

  1. 取引拒絶(出品拒否、アカウント停止等)などにより、競争関係にある事業者のサービス継続を困難とすること
  2. 新たな負担を課すなど、利用者が不利益になるような内容に、契約を一方的に変更すると又は契約にない運用を押しつけること 等

(3) モニタリング・レビュー

(2)A で自己評価を求めた取組について、運営状況の定期的な報告・公表とモニタリング・レビューを行う仕組みを整備してはどうか。

論点3.市場の調査についての考え方

上記に加え、特定デジタル・プラットフォームであるか否かを問わず、デジタル・プラットフォームに対する実態調査等を行うこととし、必要に応じて特定デジタル・プラットフォームの追加・見直し等の施策の検討に活かせるような体制を整えておく必要はあるか。

(以上)

深掘りのための資料


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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