『職場のセーフティ(安全性)は法令遵守コストではない。パフォーマンス向上の推進力だ。(3/3)』丨ハーバード・ビジネスレビュー最新号24年9−10月号

「勉強時間なんて、忙しすぎて作りようがない」―大人になった私達に広く共通する悩みです。30代前半、私は、言い訳(他責含む)を止めて、答を早朝勉強に求めました。今でも、毎朝4時台に起床し、机に向かいます。ここでは、ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読み、後日、講演・執筆で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。

表題の通り、「安全性」がコストではなく、パフォーマンス向上に寄与しているという研究。従業員の安全が重要な企業に所属されている法務部員や組織内弁護士におすすめです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

Vikas Mittal, Alessandro Piazza, and Sonam Singh (2024), Safety Should Be a Performance Driver, It’s more than just a compliance issue, Harvard Business Review, 102(5), 116-127.

重要ポイント[3/3]: セーフティをパフォーマンスの推進力とするための具体的施策

では、どのようにすればよいのか?

筆者らによれば、セーフティを効果的なパフォーマンスの推進力とするためには、①企業全体でセーフティの定義を統一し、②セーフティの効果を測る指標を明確にする必要がある。アルコアの元CEOポール・オニールは「ゼロ事故」(zero workplace injuries)を目標とし、セーフティを全ての意思決定に組み込んだ。また、テキサス州の学校区は、いじめの抑制(reducing bullying)を教育成果(業績評価)に結びつける戦略を採用し、校長や教職員がセーフティ指標の重要性をコミュニティに共有することで、セーフティの価値を実際の「業績評価」にリンクさせた。

また、筆者らは、各企業はセーフティトレーニングを特定の予防行動に焦点を当ててカスタマイズし、従業員の行動にインセンティブを与えることが重要であると主張する。具体例として、看護ケア施設チェーン(nursing-home chain)ではオンライントレーニングの完了率を96%に引き上げ、従業員が床ずれ(bedsores)の早期段階を検出することで、床ずれの発生率を60%削減した。

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