【日曜朝連載】具体的かつ効果的に要約する力には、「重要な事実」と「重要でない事実」のふるい分けが必要丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第25回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、まず「すべての法律文書に共通する」合計20のルールを提供してくれます(連載第1回〜第21回参照)。

第2部では、ガーナー教授が「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」を厳しく鍛えます。私は外資系企業で合計12年以上勤務しており、「英語で読み書きできる」だけでなく、「分析的・説得的に働いてくれる英語の技術」が求められていることを痛感しています。

あなたの英語は、誤解があれば恐縮ですが単に日本語を英訳しただけの「情報伝達の機械的なソースコード」になっていませんか?(私はこのフィードバックをもらったときは悩みましたが、前進を決意しました。)

情報は文字として伝達(トランスミット)されるだけでは不十分で、相手に影響を与え、こちらが期待する行動変容や回答を引き出すために「分析的・説得的に働く」必要があります。第2部では、英語の「羅列」から「伝わる英語」への進化を一緒に勉強していきましょう!私もまだまだ未熟ですが、精読を通じて皆様と一緒に成長したいと考えています。

要点

メモ

ガーナー教授は、「分析的および説得的な英語ライティング技術」(analytical and persuasive writing)に必要な「具体的かつ効果的に要約する」力についても言及しています。

  1. 事実を述べる際には、最初に概要を示し、読者が理解しやすい枠組みを提供することが重要である。
  2. 具体的かつ効果的に要約するためには、必要な情報を選び、不必要な詳細は省くことが受容である。
  3. 判断基準=「重要な事実と重要でない事実をふるい分けるための良いテストは、問題の理解に必要でないか、または人間的な興味を引かないものであれば、それを省略する」(Here’s a good test in winnowing important from unimportant facts: if it isn’t necessary to understanding the issues or if it doesn’t add human interest, then omit it.)。

私は第3の「ルール」の助言に触れた際、感動しました。 自分が重要ではないと考えていた事実が抜けていたと後から指摘されてしまったり、 逆に自分が重要だと思って、盛り込んだ事実が盛大に削除されていたり、 日々の失敗の中で、このようなルールをもっと早く知っていたらなと思う時間がよくあります。外資系やグローバルファームに勤務する前に、このような原理原則について勉強しておくことが大事だと私は考えています。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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<後日更新いたします>

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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