上場努力義務を課さない(1/3)
デライト・ベンチャーズでは、上場しないことで会社や創業者がペナルティを受ける条項は投資契約に含めない方針をとっています。株式上場はあくまでも資金調達の手段の1つであり、スタートアップの大きな成長を実現するために、上場という手段を取るかどうかは、総合的な経営戦略に基づいて判断するのが望ましいと考えるためです。
国内の多くの投資契約においては、慣習的に上場努力義務が規定されていることに加えて、監査法人や証券会社の評価により会社が上場できる状況にあると判断されたにも関わらず上場しない場合、起業家及びスタートアップに「株の買取義務」を課す項目を含むケースが散見されます。
これは投資家にとってエグジットの確度を上げる側面もありますが、国内で上場が可能とされるタイミングでも、世界的に見ると時期尚早である場合が多く、その後の成長に苦しむ会社が多いのが現状です。すなわち、スタートアップの大きな成長のためにも、投資家の利益のためにも、早期上場を促すことが必ずしもプラスに働くわけではないのです。世界規模のイノベーションを生むために、上場せずに大きな事業投資を行うという選択肢も尊重する方針を重視します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000052552.html
創業者個人に金銭リスクを取らせる条項の撤廃(2/3)
前項のペナルティに加えて、会社に表明保証違反が起こった場合などに、誰が責任をとるべきかについては、さまざまな議論があります。国内では会社が投資家から株式を買い戻す義務が発生した場合、その責任を創業者が個人的に連帯保証することがよくあります。加えて、会社法の規定で、利益の出ていないスタートアップが自社株式を買い取ることは禁止されているため、実質的に創業者個人が単独でその義務を負っているのに等しい状態です。デライト・ベンチャーズの投資契約では、会社のペナルティが起業家個人に及ばず、スタートアップで遡及が止まる仕組みをとっています。
もし株式を買い戻す義務を起業家個人に課したとしても、起業家がその資力を持っていることは多くないでしょう。つまり買い戻し条項は、起業家を個人破産させる可能性を秘めた交渉上のレバレッジを投資家に与えているにすぎず、スタートアップの成功やエコシステム拡大にとっては、プラスよりもマイナスの方が大きいと私たちは考えます。一方、デライト・ベンチャーズの投資契約では、会社が会社法上株式の買い戻しを行えない場合でも、違約罰を会社に課すことで、モラルハザードを防ぎます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000052552.html
柔軟に発行・付与できるストック・オプションの仕組み(3/3)
デライト・ベンチャーズの投資契約では、米国型のオプションプールの設定の仕方を提案しています。米国型の方式では、各ラウンドごとにプレマネーベースでSOの枠を設定します。この方式を採用すると、主に以下2つのメリットがあります。
(1)スタートアップにとって、採用計画とセットでSOの付与計画を立てられる
(2)そのラウンドの投資家にとっては、SO枠で自らの持分が希釈することがないため、起業家が人材採用に必要と考える適切な量の枠を設定しやすい
米国型のオプションプールを設定する方式を採用することで、SOで得られる利益の最大化を目指し、スタートアップに優秀な人材を引きつけ、公正なSOを柔軟に付与できる仕組みを後押しします。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000052552.html
[関連情報]
デライト・ベンチャーズ「デライト・ベンチャーズ、投資契約方針を公開。グローバル基準をベースにスタートアップの成長を契約面から後押し」2023年12月27日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000052552.html
デライトV、タームシートから上場努力や株式買戻義務など条項撤廃へ——「Vチャレtech」参加者の募集開始
https://thebridge.jp/2023/12/delight-ventures-to-remove-ipo-and-share-buyback-obligation-clauses-from-term-sheet
日本経済新聞:デライト、投資契約方針に明記 「IPO義務なし」 未上場で成長促す
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77276510W3A221C2FFT000/
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(了)
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上場努力・株式買戻義務…起業家が押し戻しにくい条項について、かねてからフェアな条項を提示されていたデライトベンチャーズ様から公表されました。