24年4月 社外役員就任のご報告(こちら)

でた、緊急依頼。法務で時間の帳尻をあわせないで…!3つの解決案丨リーガルリスクマネジメントの教科書みんなの相談室(5)丨営業時間 火曜朝

1. 本日の相談室(火曜日朝のみ営業)

若手の組織内弁護士の方

渡部先生、相談があります。

相談内容 事業部からの相談がいつも遅く、結局、法務部がめちゃくちゃ頑張って帳尻を併せます。そのため法務部の突発的な仕事が多く、業務の効率が損なわれ、結構みんな疲れています。適切なタイミングでの相談を促進するための戦略はありますか?

わたなべ

共感 う〜、本日の質問は、きっと私以外も法務部門で汗を流している人々は「わかる」という方も多いのではないでしょうか。相談が遅すぎるのに「明日の正午までに回答をください」とか、「時間が限られているのでクリティカルなところがなければこのままにしてください」とか、結構、勝手なご注文を受けたりという苦いご経験です。慎重でリスクに敏感であり、会社をリーガルリスクから守っている皆様は心穏やかではない方も多いのかなと思います。しかも、これが時々であれば、「そういう緊急もあるか」と思いHappy to helpですが、恒常的ですと、イライラしても不思議ではございませんし、まったくもって、自然なことだと思いますきっと、心のどこかで、フェアではない、そういう風な気持ちになるのは正当だと思います。


私なりに心を込めた回答 大切な悩みのご相談、改めて、ありがとうございます。私にも盲点があると思うのですが、アイデアのご提供として、次の3つを試してみてはいかがでしょうか。少しでもお役に立てば嬉しいです。

  • 第1に、AAR(アフターアクションレビュー)の実施です。これは外資系の企業では日常的に行われている「ミニ検証」「ミニ振り返り」です。依頼タイミングのせいで「エラー」が生じた場合、部門横断的にレビューを実施し、メモをまとめ、関係者及び部門に広く共有して、次のエラーを防止します。
  • 第2に、「way of working」の話し合いです。往々にして、私たちはhonest conversation(腹を割ったお話)を避けたがります。法務部内で「あのA部署ほんとないよね、いっつもラストミニッツで、どんだけ疲弊してるかわかってないでしょ!」と愚痴っても始まりません。心理的安全性を前提に、チーム同士で話し合いの機会を持って、broken(壊れている)way of working(働き方)を改善する手立てを相談します。
    • リアルでお会いした際にこういう質問をいただいた際、私は常々「直接お話はすでにされているのですか?」と質問しますが、お答えはよく「いえ、なかなか話しにくくて、それとなく伝えてはいるのですが」と、膝と膝とをつき合わせて会話していないことがほとんどです。
    • お互い持ちつ持たれつの部署であるので、そこはチームで解決しましょう。
    • なお、「way of working(働き方)」の修繕は、管理職の仕事です!管理職は部下が働きやすい環境づくり[マネジメント]に全精力を注いでいただいておりますでしょうか。本質問のような「ペインポイント」(摩擦)がいつまでも解消されないのは、管理職の「マネジメント」のTO DOの盲点の可能性があります。2024年早期にご解決をお願いします(言いにくい部下の方にかわり謹んでお願い申し上げます)。
  • 第3に、相談がこないなら、こちらから行きましょう。法務相談の1秒前に降って湧いた案件のはずはありません。事業部に半日座席を借りて仕事をともにしていると、事業部の会話から、聞いたこともない様々なアタック中の案件や取り組みがどんどん聞こえてきます。「えっと、今の何ですか?」「それってNDAまいていますか?すぐにつくりましょうか?」「この案件なら◯◯の案件の焼き直しですよね、▲▲の条件が決まったら、決まったものからメールしてください、契約書埋めておきますね」など、相談を待たずに一緒に走れます。もちろん、工場や事業部が遠隔地ということもあると思いますが、事業は降って湧くことはありませんので、その商流や工程を現場で見ていると、なぜ相談が遅れるのかという「構造上の問題」も見えてくるはずです。
  • 待っていても何も解決しません。Take Action Now!

教科書該当箇所 渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書182-185頁(日本加除出版、2023)

2. お悩み相談箱(投稿は以下から受け付けております)

※お寄せいただいた大切なご相談にはできるかぎり目を通しております一方で、すべてのご質問やご相談を掲載したり、個別にご回答できるものではないことをご了承ください。上記ご了解の上でご連絡頂きますようお願いします(メールフォーム)。なお、法律相談は承っておりませんので、法律相談先のご相談は最寄りの法テラスまで、お願い致します。

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<後日更新いたします>

[リーガルリスクマネジメントの教科書とは?]

日米の法務の知恵がここに融合。法律家・法務部門のポテンシャル、総開花。
条文を引くように、誰しもが独学できる「攻めの法務」の基本書、心を込めて、あなたへ。


× リーガルリスクがあるから“NO”
◎ “YES” を実現するため、法務・法律家として伴走します!

企業が成長するために必要な、「攻めの法務――リーガルリスクマネジメント」の方法・プロセスを、マンガと講義で体系的に学習できる。
米国企業AirbnbのLead Counsel・日本法務本部長に就く著者が、自らの知識・経験を注ぎ込んだ、企業法務の新しい「教科書」。

【マンガ編のストーリーで「リーガルリスクマネジメント」のプロセスを追体験!】
〈あらすじ〉
大手法律事務所のアソシエイト弁護士である堤かおりは、指示を受けて業界No.1営業代理店「デンエイ」の法務部に出向。事業部の契約書や提案に対し「リスクがあるから“NO”」と回答する日々を送っていた。そんなある日、アメリカ帰りの弁護士・加古川が法務部にやってきて、かおりの「NO」に待ったをかけるようになり……?

【読者参加型の講義編で「リーガルリスクマネジメント」の実践方法を立体的に解説!】
■BUSINESS LAWYERS主催の「伝説の講義」を再編成!演習問題で、「攻めの法務」を実践レベルに導く。
■「リスクの特定/分析/評価/対応」について、クライアントへの助言方法も含めて解説。
■演習問題では受講者から出た回答例も収録。自分の回答と比較することで、企業法務の初任者・ベテランを問わず、認知のバイアスに気づくことができる。

【5大法律事務所パートナー含む、学者・弁護士・ヘッドハンター・法務役員・経営者が推薦!!】
経営支援の観点からリーガルリスクをマネジメントするための最良の書といえる
  -名取 勝也 弁護士(アップル、ファーストリテイリング、日本アイ・ビー・エムの元最高法務責任者)
最適解を見出すリーガルリスクマネジメントの神髄を学ぶ渾身の作
 -平野 温郎 教授(東京大学教授)
正解のないワクワクする法務へ
 -羽深 宏樹 氏(京都大学特任教授)
リスクの解像度を上げてチャンスに変える!スタートアップも必携
 -馬田 隆明 氏(東京大学FoundX ディレクター)
まさか、マンガにしてしまうとは! 革新的なリスクテイクの教科書
 -平泉 真理 弁護士(グラクソ・スミスクライン株式会社 法務担当取締役)
新入社員の頃の自分に読ませたい
 -依田 光史 氏(アビームコンサルティング株式会社 執行役員 CLO)
信頼される法務担当者を目指すならば、本書を読んで自分に向き合ってほしい
 -高野 雄市 氏(三井物産株式会社 執行役員 法務部長)
これは、クライアントマネジメントの教科書でもある
 -藤原 総一郎 弁護士(長島・大野・常松法律事務所)
産業育成型弁護士の開拓書
 -藤井 康次郎 弁護士(西村あさひ法律事務所パートナー)
イノベーションに関わるすべてのロイヤーにとって必読の書
 -堀 天子 弁護士(森・濱田松本法律事務所パートナー)
『リーガルリスクがあります』を卒業し、ビジネスと伴走していくための教科書
 -前田 敦利 弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー)
マンガで明快! “No”と言わない伴走型企業法務への必読書!
 -白石 和泰 弁護士(TMI 総合法律事務所パートナー)
法務最先端を疑似体験する読者の人材市場価値は向上するだろう
 -西田 章 弁護士(弁護士ヘッドハンター)
企業法務に関わる全ての人必読の法的リスク管理の「バイブル」
 -松尾 剛行 弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)
法務のマインドセットを学ぶ最良書
 -染谷 隆明 弁護士(池田・染谷法律事務所 代表)
理想と現実の狭間で葛藤する企業法務人材に向けた実務必携の一冊
 -酒井 貴徳 弁護士(法律事務所LEACT 代表)
あなたの判断で、世界を変えに行こう!
 -瀧 俊雄 氏(株式会社マネーフォワード執行役員CoPA)
イノベーションを起こすには、主人公のような法務パートナーが必要です
 -吉兼 周優 氏(株式会社Azit 代表取締役CEO)
社会の前進を生みだす「イネーブル法務」に生まれ変わること間違いなし
 -門奈 剣平 氏(株式会社カウシェ 代表取締役CEO)
DeNA 時代から「事業部の懐刀」であった戦友の手紙だ
 -大見 周平 氏(株式会社Chompy 代表取締役)

(※順不同:肩書は2023年2月時点:個人の見解です)

https://www.kajo.co.jp/c/book/07/0701/40940000001

(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。

渡部推薦の本丨足りない、は補えばいい