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開示決定丨令和5年 情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(金融庁)

Problem Statement(問題の所在)丨 従来、「新しい法律(新法)」を研究する際には、国会及び行政における検討会・審議会の公開資料が検討されてきました。ところが、内閣法制局に必ず提出される法案及びその論点を解説した「内閣法制局資料」については十分な研究対象とされていませんでした。そこで、「組織内弁護士研究ノート」では、2018年以降管理人が実施している、行政文書開示請求を通じた新法研究の一端を共有させていただきます。

新法研究丨令和5年 情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律

2023年に、下記の開示決定をいただきましたのでお知らせいたします。金融庁様は、流石と感嘆するのが、過去開示で1件もミスがなく、また、極めてスピーディーです(尊敬しております👏)。

マニアックな注目ポイントとして、開示決定は、閣議決定以降であれば、国会審議中であることは開示拒絶の事由に該当せず(総務省様もこの見解です)、開示決定を何ら妨げないということです。本法律案も、金商法同様、通常国会の時間切れで可決されませんでしたが、既に閣議決定後ということもあり、金融庁様は速やかに御開示いただいております。

なお、閣議決定後も、立法府での国会審議が、行政文書の「非開示事由」になると頑なに(数年にわたり)ご主張されている官庁が日本でただ1つあり、それは法務省様です。詳細は以下のとおりです。はじめに、過去、お電話で法務省様のご担当官と深く議論したことがあるのですが、私の理解が至らず恐縮ですが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の解釈権限を有する総務省様含む全ての官庁(法務省様を除く)が閣議決定後に開示している(国会審議は非開示事由に該当しない)のに対し、なぜ、法務省様だけは、「国会審議」が非開示事由に該当すると頑なに主張されるのかがよく理屈付けがわからず、毎年、謎な状態です。法律の趣旨国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする)に遡ってに考えれば、閣議決定が行われ、いよいよ行政府から法案が「立法府」での審議という「国民主権」「民主的過程」の最も重要なプロセスに手渡された場面において、国民が提出された閣法を的確に理解し、国民主権の理念から、閣法の国会の議論に参加していくことの必要性は否定できません。また、国民主権を担保するはずの情報公開法について、「民主的過程」の国会審議が、行政文書の非開示事由になるというのは、原理原則から考えれば、背理ではないかしら、と感じております。議論は2023年も平行線でした。

内閣法制局資料は、私にとって行政官に対する最大の敬意を抱く殊玉の超一線級資料であり、おそらく、undervalueに置かれた資料であったと考えています。実務家・研究者が、内閣法制局資料の研究を通じて、我が国の法制技術を支える行政官に敬意を表し、より奥の深い新法の研究が発展することに役立てば幸いです。

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内閣法制局資料の研究に関しては下記拙稿をご高覧ください

内閣法制局資料そのものは、本サイトでは公開しておりません。なぜなら、上記の通り、私にはリスペクトの対象であるため、興味本位ではなく真に業務または研究に当該資料を要する方に共有先は限定すべきと考えているためです。研究で当該資料をご入用とされる場合には、Happy to helpでございますので、どうぞ下記メールフォームからお問い合わせください。その際、どのようなコンテキストで必要かについて教えていただけますとありがたく存じます。

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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