制作裏話(3):株式会社デンエイのモデルは電通ではない ―渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』

主人公かおりが出向した「株式会社デンエイ」のモデル

「リーガルリスクマネジメントの教科書」の舞台となる、株式会社デンエイ。

かおりは、四大法律事務所「菱村あさま法律事務所」から「デンエイ」法務部への出向を命じられます。

作中、デンエイに関する手がかりいえば、『代理店営業の老舗企業』『業界トップシェア』であること、さらに、『足を使った営業力』が武器とされています。

デンエイの制作秘話

渡部

出向お疲れ様でございます。堤先生は、出演された「デンエイ」社について、モデルはどう思われますか?

堤かおり

出向してから幸せな日々を送っていたら、加古川さんが登場してからのドタバタでしたので、あまり意識していませんでした。

当てずっぽうになりますが、会社名の語感から大手広告代理店の「電通」さんをイメージしました

渡部

実は、A4 数枚にわたる本書の細かな設定を作った私の手元の書類によると、デンエイのモデルは「電通」さんではありません。

デンエイのモデルは、私も尊敬する(昔の)「リクルート」様なのです。これは以下の3つの執筆当時の背景があります。

  1. 私が働いていたDeNAに、リクルートご出身の熱量があふれる素晴らしい素敵な方が沢山いたこと。
  2. DeNAでお世話になったNさんという元リクルートの素敵な方が、リクルート社内で配布されている創業者江副さんの書かれた社員向けの論説・手記のようなものを読ませていただいたことがあり、そこには、起業家・パイオニアとしての様々な「熱い」想いが綴られており、感銘を受けました。
  3. さらに、21年2月の原作執筆当時にちょうど読んだ、大西康之『起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』 に影響を受けています。この名著のリクルートの歴史に触れ、さらに、このような会社がイメージとして膨らんだのです。「足で稼ぐ」というのはまさにこのリクルート様の逸話をオマージュしています。

ですので、結論としては、電通様ではなくリクルート様が、モデルといえばモデルです。

広告代理店、とはあえて書いておらず、また、私の著書『法律英単語Ⅱ』の例文ともリンクしていて、基本的に、デンエイは、営業代理店業務を引き受けているんです。

堤かおり

なんと!…では「デンエイ」という名前の由来もきっと考えておられたのでしょうか?きっと、私の年収や学歴含め、細かすぎる設定をされている渡部さんなので…。

渡部

さすがです。

実は、ある登場人物の「姓名」の「名(First Name)」がデンエイなのです。

第二次世界大戦当時に出生したこの登場人物は、彼の父が戦闘機の工場に勤務していたことから、旧日本軍の迎撃戦闘機「雷(電)」に由来する「雷電」「紫電」「震電」のように「電」の一文字を付与されたと聞いています。「栄」は、苦しかった世界大戦中に、祖国や子供が栄えて欲しいという親の願いがあったのかもしれません。

後に、この「デンエイ」の名がつく彼は、うさんくさい事業からはじまり、いまや、一代で、日本最大の「営業代理店」の会長にまで上り詰めたのです。

堤かおり

えーと、、、デンエイの創業者ってことですよね。デンエイの役員…創業者はたしか「会長」ですよね‥。会長、会長、会長…「おじいさま」…う、頭が。

大手デンエイ役員の孫である加古川さんの時計は…

そういえば、前回、加古川さんは、役員の孫(詳しくは本書をお楽しみください)であり、時計はランゲ&ゾーネのサクソニア!!(ランゲ&ゾーネ発祥の地でもあるザクセン州に由来)…お値段推定350万円、というお話をしました。

サクソニア!!

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そんなこんなで、ぜひ、デンエイという名前がつく登場人物もお読みになりながら探していただけたら幸いです。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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