御礼とご報告丨書籍・講演を通じて、皆様からお預かりしていたものをつなぎました(こちら)

ご報告丨学恩返し貯金(4)丨社会から預かった想いを、未来の法曹へつなぐ”学恩返し”の輪🔗

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橋爪隆東京大学法学政治学研究科長とともに(12月吉日撮影)学内での撮影及び本記事の掲載には、事前のご了解をいただいております。

本年も1年間、ご指導ご鞭撻を頂き、また、見えるところ見えないところ併せてお力添えを頂き、心からありがとうございます。

2025年最後の日(大晦日)、皆様に御礼とご報告がございます。年末年始のお時間がある際に、ご高覧いただけますと幸いです。重ねて、2025年の1年間、至らないところばかりでございましたが、温かく見守ってくださり、ありがとうございました。

以下、謹んでご報告となります。 はじめに、簡単に経緯を述べた後、今回の報告に移ります。

今回のご報告に至るまで―2025年12月までの軌跡

これまでの経緯を3段落で振り返ると、下記の通りです。

  • 【きっかけ】背伸びから始まった積み立て(2008年〜):司法試験合格直後の冬、海外の弁護士が高い志を持って収入の10〜20%を寄付する文化(ノブレス・オブリージュ)を知り、衝撃を受けました。当時の私には、書籍にあった大きな寄付は心理的にも経済的にもハードルが高く、尻込みしてしまったのが正直なところです。「それでも、月3万円なら続けられるかもしれない」。そう自分に言い聞かせ、司法修習生の初任給から、ささやかな積み立てをスタートしました。
  • 【第1章】166ヶ月目の安堵(2022年): コツコツと続けること約14年。積み立てが目標額の500万円に達したため、母校である東京大学法科大学院へ寄付させていただきました(学恩返し貯金1)。40歳にして、人生の宿題を一つ提出できたような、あるいは一種の「終活」を終えたような、不思議な安堵感に包まれたことを覚えています。
  • 【第2章】皆様の想いを原資に(2023年〜現在) 一度は完結したプロジェクトでしたが、その後、終活の一環として身の回りの品々の整理・売却さらに書籍や講演の機会をいただく中で、「この対価は私個人のものではなく、社会からの預かりものだ」という思いが強くなりました。そこで、いただいた印税などを原資を静かに積み立てておりました。 おかげさまで、2025年の新刊『成長を叶える組織内弁護士の教科書』の出版などが重なり、再び目標額に到達しました。今回、改めて東京大学基金(ローレビュー運営資金)へ寄付させていただきました(学恩返し貯金2)。
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▲ 2022−23年当時の心境は上記の記事に詳細がございます。

新しい500万円の「原資」について

印税や講演謝金は「社会からのお預かりもの」

2022年の最初の寄付以降、本業以外の活動(執筆や講演等)で得た対価は、個人の支出には充てず、次の寄付のためにプールしてまいりました。

これは、「拙著の印税や謝金は、私の力というより、書籍を手に取ってくださった読者の皆様や、法曹界という土壌があって初めて生まれたもの」という私なりの感覚によるものです。

社会から一時的にお預かりしたものは、循環させていきたい。そんなシンプルな思いから、今回の寄付に至りました。

公表することへの迷いと、ささやかな願い

寄付の公表については、多様なお考えがあることと存じます。 実際、私が尊敬する多くの先輩方も、長年にわたり人知れず多額の寄付や社会貢献を続けておられます。

そのような「陰徳」の尊さを重々承知した上で、今回あえてご報告させていただいたのは、かつて私自身が、ある先輩の行動を知ることで「こういう社会還元の形があるのか」と背中を押された経験があるからです。

以前の記事をご覧になった後輩の方から「自分も寄付をしてみました」というお声をいただいた際、選択肢の一つとしてお示しできて良かったと安堵いたしました。 人生のフェーズや価値観によって、何が心地よいかは人それぞれです。

正解も優劣もありませんが、今の私にとっては、この形が「自分なりの幸せ」であると感じております。

東京大学法科大学院ローレビューについて

2度目の旅路という安心感

大学関係者のお力添えのおかげで、2022年の時のような戸惑い(手続きや窓口への不安)を感じることなく、落ち着いて進めることができました。

それはまるで、初めて訪れた土地ではターミナル駅で右往左往してしまった私が、2度目の訪問では、駅に降り立った瞬間に懐かしさを感じ、穏やかな気持ちで目的地へと歩き出せるような、そんな旅の風景にも似た感覚でした。

改めて、寄付先の東京大学法科大学院ローレビューの活動とは?

ウェブサイト: https://www.sllr.j.u-tokyo.ac.jp/

東京大学法科大学院ローレビューは、同大学院生による研究成果の公表を主たる目的として創刊された法学専門誌です。

  • 最大の特徴は、企画・運営から投稿論文の予備審査等の編集実務に至るまで、学生主体の編集委員会が担う「学生主導」の体制にあります。
  • 実務家教員等による研究発表の場としての側面も持ち、未解決の社会的課題に取り組む創造的な法曹能力の涵養を目指しています。
  • ここで創刊の辞を覗いてみましょう(太字・下線部は管理人による)。

創刊の辞

専門職大学院である法科大学院が法曹としての基幹的能力を育成することを任務とすることはいうまでもないが⋯(中略)…むしろ,いまだ未解決であったり,これから新たに生ずるであろう社会的課題について,法曹として正面から取り組んで,解決を図っていくという創造的な能力の涵養こそが究極の法科大学院教育の目標でなければならないと東京大学法科大学院⋯(中略)…では考えている。

このような創造的な法曹としての能力の涵養のためには,特定の法的な問題について理論や実務のリサーチをし,それを踏まえて自分なりの解決策を模索して,その結果を論文等の文章に著していくという作業はきわめて有効である⋯(中略)…観点から,本法科大学院では,創設された2004年度より米国のロースクールで刊行されているローレビューをモデルに,本法科大学院でも学生が主体的に編集を担当するローレビューを創刊しようという考え方のもとに準備作業を行ってきた。

(略)

2006年8月
東京大学大学院法学政治学研究科長
高橋 宏志

原文: https://www.sllr.j.u-tokyo.ac.jp/01/papers/part1.pdf

現役のローレビュー編集委員の方々が教えてくださったこと

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先日、現役のローレビュー編集委員の皆様にお時間をいただき、食事をご一緒する機会に恵まれました(写真は許可をいただき掲載しております)

師走のお忙しい中にもかかわらず、快く応じてくださった皆様に心より感謝申し上げます。 知的好奇心に溢れ、目を輝かせて議論される皆様の姿は、私が院生時代に憧れた尊敬する先輩や同期たちの姿と重なりました。そのひたむきな姿勢に触れ、今の自分に足りないものや、初心を思い出させていただく、大変貴重な時間となりました。

卒業生の一人として、微力ながらどのような貢献ができるか模索しておりましたが、皆様との対話を通じて多くの気づきを頂きました(詳細はLinkedInの投稿をご覧ください)。

現在、従来の支援の形とはまた違った新しい取り組みを、皆様のお力をお借りしながら進めております。2026年に形にしてご報告できるよう、私自身もさらに精進して参る所存です。

結びに代えて―吾唯足知

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写真:先生方とご一緒に。5名の先生方から撮影・掲載のご許可を個別に頂いております(深謝)。

今回の支援は、決して私個人の力によるものではありません。日頃より私の活動を支えてくださる皆様から「お預かりした想い」を、次の世代へのバトンをパスさせていただいただけのことと考えております。

私の発信や経験が、皆様のお役に立ち、それが巡り巡って未来の法曹を育てる水となる。この「想いの循環」の一端を、皆様と共に担えたことが、実務家として何よりの喜びです。

改めて、温かいご支援をくださった全ての皆様に、心より御礼申し上げます。

「吾唯足知(われただたるをしる)」

今ある環境やご縁に感謝し、いただいたご恩を少しずつ社会へお返しできるよう、これからも精進してまいります。未熟な身ではございますが、今後ともご指導ご鞭撻をどうぞよろしくお願いいたします。

2025年12月31日(大晦日に)

渡部友一郎

(ご参考)学恩返し貯金に関連した過去の記事

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渡部友一郎の近況報告

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。