弁護士&法務⋯AI時代こそ必要な「システム思考」入門[3/3]丨HBR2025年9-10月号の掲載論文

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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

AI時代こそ必要な「システム思考」入門丨一緒に学ぶ論文はこちら

Tima Bansal and Julian Birkinshaw (2025). Why You Need Systems Thinking Now: It’s the best way to anticipate the many secondary effects of change in an interconnected world, Harvard Business Review, 103(4), 124-133.

AI時代こそ必要な「システム思考」入門丨全体像丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる>
本論文をどのように例えるか、職場の慢性的な『残業問題』への対策で解説します。複雑な問題を解決する際、流行りの手法だけでは副作用を生んでしまいますが、システム思考こそが根本解決に導くという内容です。

💥 ブレイクスルー思考(強行突破型) 「明日から18時完全消灯!強制退社!」とトップダウンで命じるやり方です。一見解決したように見えますが、実際は「隠れ残業」が横行したり、取引先とのトラブルが激増したりと、別の場所で深刻な副作用が発生します。

🛋️ デザイン思考(現場寄り添い型) 「残業で疲れている社員のために、豪華な夜食や仮眠室を用意しよう」と現場の不満(ユーザー体験)に寄り添うやり方です。社員の満足度は一時的に上がりますが、仕事の絶対量や非効率なプロセスは変わっていないため、根本的な解決にはなりません。

🌐 システム思考(全体最適型) 「なぜ仕事が滞るのか?」と全体を俯瞰し、「営業部が無茶な納期で安請け合いするから、製造部がパンクしている」という部門間の「関係性」や「流れ」の欠陥を突き止めます。特定の誰かを責めるのではなく、受注ルール(システム)自体を作り変えることで、無理なく残業がなくなる持続可能な仕組みを構築します。

全3回の論文の内容を、ここにいる法務部門の我々みんなで、順番に抑えていきましょう。

AI時代こそ必要な「システム思考」入門丨個別丨本日のポイント

製品ではなく「流れ」を変える:ナッジと実験による進化

最後に、本論文は、Co-operatorsとCSAグループに見る「関係性」のイノベーションを論じる。

  • 多くのイノベーターは新製品やサービスの開発に固執するが、システム思考では「フロー(流れ)」や「関係性」の変化こそが重要である。カナダの保険会社Co-operatorsは、気候変動による保険金請求の増加に対し、新商品を開発するのではなく、損害を受けた住宅資材の流れを変えた。「乾燥」プロセスの導入や持続可能なベンダーの選定により、廃棄物を埋立地に送るのではなく、住宅や家財を修復するフローを構築し、コスト削減と環境保護を同時に実現した。
  • 最後のアクションは、銀の弾丸(特効薬)を探すのではなく、「ナッジ(行動を促す小さな介入)」によって前進することだ。
  • カナダ規格協会(CSAグループ)は、循環型建築環境の実現という壮大な目標に対し、いきなり新基準を作るのではなく、建築家への教育や小規模なパイロットプロジェクトへの資金提供といった「小さなアクションの生態系」を作り出した。
  • システム思考における実験とは、製品テストではなく、パートナー間の相互依存関係を明らかにし、システムが自然に進化するティッピング・ポイント(転換点)を探るプロセスなのである。

AI時代こそ必要な「システム思考」入門丨30秒考えてみよう。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。