法務戦略を「ビジュアル化」してますか?[2/3]丨HBR2025年7-8月号の掲載論文

火曜日・金曜日は集まれ! #法務のみんなで一緒に前進

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨

「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

法務戦略のビジュアル化丨一緒に学ぶ論文はこちら

João Cotter Salvado and Freek Vermeulen (2025). You Should Be Able to Boil Your Strategy Down to a Single Clear Visualization – A one-slide representation is the best way to win over employees and investors, Harvard Business Review, 103(4), 98-107.

法務戦略のビジュアル化丨全体像丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる>
法律事務所・法務部のメモランダム、意見書、メール…戦略が長々書いてあって「クリスプ」(パリッと香ばしく焼き上がっている状態)ではないですよね(私のものも当然に含む)。本論文をわかりやすくまとめてると、弁護士・法務にも役立つ情報がおぼろげながら見えてきたんです。

🗺️ 宝の地図:長い説明より、宝の場所と道筋が1枚で分かる地図のほうが仲間は一気に動けます。戦略も同じで、1枚の可視化があると全員が同じ方向を向けます。
⚽ サッカーの戦術ボード:矢印で「誰がどこへパス」「次に何が起きる」を示すと、全員の動きが噛み合います。戦略スライドも因果の流れを矢印で示すと理解が早まります。
🍱 仕切りのある弁当箱:主食・主菜・副菜・デザートのように、戦略の核を「3〜4つ」に仕切ると、中身が迷子になりません。細かいおかずは各仕切りの中に入れます。
🎮 ゲームのスキルツリー:大きな枝(戦略の柱)から、下位スキル(実行の具体策)へと段階的に掘り下げます。層になっているほど、次に何を取ればよいか明快です。
🌈 色分けは最小限:カラフルな演出は目を散らします。弁当の仕切り色のように「層の区別」にだけ色を使うと、要点が浮き上がります。
🛤️ 路線図は横並び:鉄道の路線図が横長で見やすいのと同じで、戦略の全体像も横方向に並べると一目で道筋が追えます。
📣 ライブのセトリ:曲順が1枚で見えれば観客も盛り上がり方を合わせられます。戦略のビジュアルも、社員や投資家のノリと集中を揃える効果があります。
🐟 水槽のレイアウト:主役の魚(コア顧客)、岩や水草(資源・能力)、水流の向き(価値の流れ)を1枚で配置すると、生態系=ビジネスの循環が見えます。
📎 レポートの要約スライド:長文レポートより、1枚の要約があると教授にも仲間にも意図が伝わります。戦略も「1枚で全体→詳細にズーム」の順が最短経路です。
🧭 方位磁針:たくさんの情報の中でも、北を示す針があれば迷いません。戦略可視化の「3〜4本の柱」がその方位磁針になります。

全3回の論文の内容を、ここにいるみんなで、順番に抑えていきましょう。

法務戦略のビジュアル化丨個別丨本日のポイント

次に、本論文は、じゃあ「戦略の1枚図に何を書けばいいの」について、段階的に手を取るように説明する。ここでは骨格が示される。

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
João Cotter Salvado and Freek Vermeulen (2025). You Should Be Able to Boil Your Strategy Down to a Single Clear Visualization – A one-slide representation is the best way to win over employees and investors, Harvard Business Review, 103(4), 98-107.
  1. 著者は、南アフリカ最大のリテール銀行Capitecは、Lafferty Groupによる「世界最高の銀行」評価を2年連続で得たが、その戦略は1枚に収まる構造であると指摘する。
    • 右側にターゲットとなる顧客「金融リテラシーに乏しい層」を配置
    • 中央に価値提案「単一でシンプルな口座」を配置
    • 左側に必要資源・能力「ローカル支店ネットワークと簡素なテック基盤・インフォーマル文化」を配置
    • 矢印で相互作用を示す。
  2. 価値提案は「低価格」「簡素」「アクセス容易」「パーソナルサービス」の4要素で具体化され、手数料は競合の半額、水平方向にスケールを確保し、創業翌年に損益分岐を達成した。
  3. 支店は開放的なファサードと色分け(赤・青カーペット)で動線を直感化し、地域出身のスタッフが母語と慣習で応対する。
  4. 人材は銀行出身ではなく小売・ホスピタリティから採用し、簡素なプラットフォームで業務を容易化、現地知識により信用供与のデフォルト率を低く抑える。
  5. なお、筆者によれば、社名「Capitec」は「capital」と「technology」に由来し、価値提案・顧客・資源の三位が循環して収益性を生むことの現れ(らしい)。

法務戦略のビジュアル化丨30秒考えてみよう。

  • 📝 皆さんはどう思われますか?
  • 🏢 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
  • ✉️ この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(オンライン版は月1〜2本の記事無料で読める場合があるので、事業部の方にシェアしてみてはいかがでしょうか?―感謝されるかもしれません🤝)

HBRの定期購読のおすすめ

毎号、自宅のポストに届くのを心待ちにしています、下記は最新号の表紙です。ビジュアルも大変美しいです。 I strongly recommend/encourage your subscription to the esteemed HBR. It’s truly meaningful.

ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進
ハーバード・ビジネス・レビューを読もう丨法務のみんなで一緒に前進

もうちょっと勉強したい人へ丨関連記事

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨

***

ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。