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法務戦略のビジュアル化丨一緒に学ぶ論文はこちら
João Cotter Salvado and Freek Vermeulen (2025). You Should Be Able to Boil Your Strategy Down to a Single Clear Visualization – A one-slide representation is the best way to win over employees and investors, Harvard Business Review, 103(4), 98-107.
法務戦略のビジュアル化丨全体像丨わかりやすくまとめてみる
<わかりやすくまとめてみる>
法律事務所・法務部のメモランダム、意見書、メール…戦略が長々書いてあって「クリスプ」(パリッと香ばしく焼き上がっている状態)ではないですよね(私のものも当然に含む)。本論文をわかりやすくまとめてると、弁護士・法務にも役立つ情報がおぼろげながら見えてきたんです。
🗺️ 宝の地図:長い説明より、宝の場所と道筋が1枚で分かる地図のほうが仲間は一気に動けます。戦略も同じで、1枚の可視化があると全員が同じ方向を向けます。
⚽ サッカーの戦術ボード:矢印で「誰がどこへパス」「次に何が起きる」を示すと、全員の動きが噛み合います。戦略スライドも因果の流れを矢印で示すと理解が早まります。
🍱 仕切りのある弁当箱:主食・主菜・副菜・デザートのように、戦略の核を「3〜4つ」に仕切ると、中身が迷子になりません。細かいおかずは各仕切りの中に入れます。
🎮 ゲームのスキルツリー:大きな枝(戦略の柱)から、下位スキル(実行の具体策)へと段階的に掘り下げます。層になっているほど、次に何を取ればよいか明快です。
🌈 色分けは最小限:カラフルな演出は目を散らします。弁当の仕切り色のように「層の区別」にだけ色を使うと、要点が浮き上がります。
🛤️ 路線図は横並び:鉄道の路線図が横長で見やすいのと同じで、戦略の全体像も横方向に並べると一目で道筋が追えます。
📣 ライブのセトリ:曲順が1枚で見えれば観客も盛り上がり方を合わせられます。戦略のビジュアルも、社員や投資家のノリと集中を揃える効果があります。
🐟 水槽のレイアウト:主役の魚(コア顧客)、岩や水草(資源・能力)、水流の向き(価値の流れ)を1枚で配置すると、生態系=ビジネスの循環が見えます。
📎 レポートの要約スライド:長文レポートより、1枚の要約があると教授にも仲間にも意図が伝わります。戦略も「1枚で全体→詳細にズーム」の順が最短経路です。
🧭 方位磁針:たくさんの情報の中でも、北を示す針があれば迷いません。戦略可視化の「3〜4本の柱」がその方位磁針になります。
全3回の論文の内容を、ここにいるみんなで、順番に抑えていきましょう。
法務戦略のビジュアル化丨個別丨本日のポイント
はじめに、本論文は、イベントスタディに基づく即時的な効果を読者へ示すことを試みる。
- 筆者は、2014年、Cypress Semiconductor社が、Spansion社を買収を発表した際、株価は発表後に13%上昇し、1年後の時価総額も発表前比で13%高を維持した事例を取り上げる。
- 他方、2012年、The Medicines Company社によるIncline Therapeutics社の買収は1年後に同様の価値創出(+13%)を達成したにもかかわらず、発表直後の株価反応は+1.8%にとどまった。
- 筆者の研究/イベントスタディ(2012〜2017年の米国大型M&Aの654件)の分析に基づくと:
- 「戦略の可視化スライド」を添えた発表では、投資家が即時に好反応を示す確率が2倍超となる。
- 写真や地図、ロゴ、棒グラフ等の他ビジュアルに比べて、株価評価への影響は4倍に達した。
- 本論文は、Karl Weickの「センスメイキング」と「センスギビング」の非対称性を指摘したうえで、経営陣が内部で形成した戦略の「認知地図」を、社員や投資家の頭の中に同形で転写するには、言語説明だけでなく因果関係を一望させる視覚化が必要であると示唆する。
法務戦略のビジュアル化丨30秒考えてみよう。
- 📝 皆さんはどう思われますか?
- 🏢 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
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(了)
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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。
(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。