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マタリング(mattering)とは?丨 組織内弁護士/管理職は、部下が「自分は重要だ」と感じるチームを作れ[2/3]丨HBR2025年5-6月号の掲載論文

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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

一緒に学ぶ論文はこちら

Zach Mercurio (2025). The Power of Mattering at Work – Improving everyday interactions can promote employee retention, engagement, growth, and well-being, Harvard Business Review, 103(3), 100-109.

マタリング(mattering)とは?丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる>
本論文は「合唱団づくり🧑‍🤝‍🧑」の例で考えるとわかりやすいかもしれません。

└ 「マタリング(mattering)」とは「自分は価値を認められ、実際に価値を生んでいる」と実感する経験であり、人間の根源的欲求と定義されています。
└ 「所属」とは、単に「合唱団に席がある🪑」ことですが、「マタリング(mattering)」は「自分の声が必要とされ、実際に合唱を良くしている🧑‍🤝‍🧑♥️」と実感できることです。
└ 指揮者が練習のたびに各パートの声をよく聴き、具体的に強みを称え、期待を添えて改善点を伝え、楽曲全体の中で自分の一節がどこに効いているかを示すほど、離脱は減り、完成度は上がります。

要するに、毎日の短いやり取りで「あなたの声が合唱をつくっている🧑‍🤝‍🧑♥️」と伝え続けることが、従業員の「定着」と「業績」を同時に高める最短ルートと本論文は説明しています。多分。以下、全3回にわけて詳細に学んで参りましょう。

誤解があれば恐縮ですが、離職率の高い法律事務所/法務部門、「若手・中途採用者がたびたび離脱する」部署・チームは、本論文に掲げられていることを「やっていない」かひどい場合には「正反対のこと」を行っていたりしませんか?

マタリング(mattering)とは?丨本日のポイント

本論文は、次に、どのように実践するかについて説得的に研究を引用して論じます。

  1. 筆者は、認知だけでは不十分であり、個々人の「固有の強み・目的・視座・知恵」を「名指し」した上でで「肯定する」ことが不可欠であると主張する。
    • John Templeton Foundationの大規模調査によれば、90%が誰かへの感謝を感じている一方、表明する人は半数未満であった
    • TalentLMSの調査では「本当に評価してくれた上司がいない」と答えた従業員が60%に上る
    • 1977年のある実験の結果によれば、同じ性格テスト結果でも「同僚との差分」を伝えられた群は満足度と自己認識が向上した。
  2. 批判前提の「賢明なフィードバック(wise feedback)」を提唱するDavid Yeagerの研究は、信頼と期待の明示が改善を促すことを裏付ける。
  3. Adam Grantの研究は、「自分の仕事が誰かに与えた実際の影響」の物語を1件聞くだけで動機づけが最大400%高まったことを示した。
  4. 筆者は、「必要とされている証拠」を可視化する技法として、NASAが30万人規模の契約労働者まで含めて実践した「ラダー(階段)づくり」を紹介する。Andrew Cartonは、Owen Maynardが管制センターの黒板に「ladder to the moon」を描き、足元のタスクから「この10年で月に人を送る」最上段までを階段を連結して見せた。しばしば引用される「私は月に人を送る仕事を手伝っている」という清掃員の語りは、個々の作業が上位目的へどう接続するかを日常的に示す重要性を象徴するである。

    マタリング(mattering)について、30秒考えてみよう。

    • 皆さんはどう思われますか?
    • 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
    • この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(Web版は月1−2記事無料で読めるので、探してシェアしてみてはいかがでしょうか?)

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    (了)

    ※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。