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交際費/接待の経費化は1万円時代へ丨18.3%の企業が交際費上限を5000円→1万円💰️

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
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日本経済新聞の月曜版「税・法務」は、多くの法務部門や弁護士の方がご覧になっていると思います。今週の注目記事を取り上げながら、皆さまのご意見も伺えれば幸いです。学びの途中ではありますが、情報交換の場として活用いただければと思います。

今週の注目記事

税は接待を変える?経費基準「1万円」に上げ、ランチ需要に波及

掲載紙:日本経済新聞 | 掲載日:2025年7月25日

記事によれば、2024年度税制改正で取引先との飲食費の損金算入基準が「1人5,000円以下」から「同1万円以下」に引き上げられました。日経・日経リサーチの1,052人調査では、社内上限を1万円にした企業は18.3%、変更なしが60.2%でした。資本金100億円超企業でも1万円超を認める回答は29.0%どまりです。料亭連合会は、客単価4〜5万円の夜より1万円ランチの引き合い増を報告する一方、「1人2万円」への損金算入基準の追加引き上げが必要と主張します。読者アンケートによれば、74.5%は接待頻度は変わっておらず、「接待で取引が決まる時代ではない」が63.0%を占めました。税制変更はビジネスランチを押し上げたものの、高額接待復活への効果は限定的です。

「交際費/接待の経費化は1万円💰️」に対する組織内弁護士の視点

社内の関連規程を変更する場合の基礎知識

区分1 万円超/人1 万円以内/人
資本金等 1 億円以下(選択制)交際費総額 年間 800 万円以内接待飲食費 年間総額 50 %まで全額算入
1 億円超 〜 100 億円以下接待飲食費 年間総額 50 %まで全額算入
100 億円超損金不算入全額算入
税は接待を変える?経費基準「1万円」に上げ、ランチ需要に波及

注) 資本金等5 億円以上の法人の100 %子会社などは分類が異なります。

法務部は「接待」しない?

法務部門と法律事務所は「知的パートナー」

企業が直面する複雑な法的リスクに対して、共に悩み、考え、解決へと導いてくださる法律事務所の皆さまは、一般的な購買取引先とは異なる、かけがえのない「知的パートナー」であると私は考えております。金銭の授受のみでは完結しない協働関係だからこそ、日々の信頼の積み重ねが、成果の質や速度に大きく影響してまいります。

ランチをご一緒する2つの狙い

私自身、メンバーが新たに加わった際などの節目に、私費にてランチをご一緒させていただくことがございます。これは、単なる親睦の場ではなく、以下のような目的を込めた大切な時間としております。

  1. 第1に、人間としての「価値観」や「ご経験」のストーリーを予めゆっくりと伺うことで、案件における背景や文脈を迅速かつ的確に共有できるという点です。
  2. 第2に、恐縮ながら、依頼者側の温かみや誠実さが伝わることで、より丁寧で深みのあるアドバイスを自然と引き出すきっかけとなることが多いと感じております。
  3. 第3に、仕事が離れた場面でも、何かその先生、個人に提供できるチャンスや機会がないかといったことを知ることができます。Happy to helpが充実できるかもしれません。

見えにくいリターンが、見える成果へ

信頼関係が深まることで得られる価値は、必ずしも定量化できるものばかりではございません。
しかしながら、納期の柔軟な調整や、まだ表面化していないリスクへの先回りのご指摘、あるいは契約交渉における市場感や背景事情の共有など、こうした「見えにくいリターン」が、訴訟リスクの回避や踏み込んだExtraなアドバイスといった、具体的な成果へと結びついていくのを幾度も実感しております。

もちろん、こうしたお付き合いは公私のけじめを明確に保つことが前提です。私費で行うこと、社内の規程や贈収賄防止ガイドラインを厳格に順守することは言うまでもありません。私が謹んで強調したいのは、「弁護士を(お金を払っているのだからといって)使い倒す」的な発想を捨て、互いにリスペクトを持ち、長く良い関係を築いていくという姿勢が重要だと私は考えております

まとめ―温かさが信頼を育み、競争力を高める

「費用をお支払いしているのだから当然」といった一方的な考え方は、時として、優れたリーガルサービスを得る機会そのものを遠ざけてしまうおそれがあります。弁護士の皆さまを一人のプロフェッショナルとして尊重し、人と人としての温かみある関係を育んでいくことこそが、法務担当者としての真の競争力につながる―そのように私は信じております。

3. 関連情報

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。