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テック企業の組織内弁護士が意識すべき「本質的な課題」とは?丨精読『Workplace Strategies for Technology Lawyers』[2/36]【木曜/土曜 掲載】

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在) 私は、現在、『リーガルリスクマネジメントの教科書』の姉妹編となる「新しい書籍」を心を込めて執筆しています。新著は、組織内弁護士として、法務部門の中で、少ない摩擦で充実した活躍をするための様々な私の失敗と学びを透明性をもってまとめた本になります。法律の専門家から組織内弁護士への「transformation」には多様な支援が不可欠です

ソリューション ある日、Amazonの書籍の中に、海外の組織内弁護士に対して同じ視点からTip(ヒント)を提供している書籍に出会いました。本書は「Do you want to stand out as a successful in-house counsel?」と問いかけます。海外と日本の違いはあるかもしれませんが、海外で100以上の高レビューを獲得している書籍を一緒に精読していきましょう。

想定する読者 法務部門の方(とりわけ組織内弁護士)、外部弁護士の方、ロースクール生・司法修習生の方

テック企業の組織内弁護士が意識すべき「本質的な課題」とは?

講義ノート

本書の筆者は、テック企業の社内では、表面的に見えている法的課題と、実際に解決すべき本質的な問題が必ずしも一致しないことがあると指摘します。

表面的な質問としては「ユーザーデータを顧客企業と共有していいか」という形を取っていても、実際には、顧客企業がそのデータを新たなサービスやリワードに使おうとしているなど、真の課題は別の部分に存在するかもしれないと喝破します。

そこで、法務担当者は、ビジネスの背景にあるプレッシャーや優先事項を理解しつつ、必要な問いを投げかけることで「実際にどんなリスクや問題があるのか」を見極め、適切な解決策を導くことが求められると助言しています。

私個人の考え⋯皆様はどう思われますか?

私個人の考えとしては、単なる表層的な相談だけに応じるのではなく、裏にある本質的な問題を解決することが大切だと思います。皆様はどう思われますか?

個人的には「賛成」です。

たとえば、エンジンが故障した車を修理するとき、ボンネットを開けて見ただけで原因が判明するとは限りません。バッテリー、プラグ、燃料系統など、いろいろな可能性を検証してはじめて「本当に直すべきところ」が分かるのと同じです。法務も「顧客企業とのデータ共有は可能か?」という依頼を受けたら、その先にあるビジネス上の狙いや、ほかに潜んでいるリスクを洗い出してこそ、本当に役立つ解決策を提示できるのではないでしょうか。

もちろん、ビジネス側には上司や予算といったプレッシャーがあるため、すぐに結論を求められる場面も少なくありません。

しかし、社内外の信頼を得るためにも、こうしたプレッシャーを踏まえつつ、事業を成功に導くための根本的な問題解決を目指す姿勢が求められます。

ここまで読んでいただいた方は、問題解決に際してどのように「真の課題」を見極めるべきだと思われますか。ぜひご意見をお聞かせください。

Workplace Strategies for Technology Lawyers ―原典の推薦―

David Sclar. (2021). Workplace Strategies for Technology Lawyers.

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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