【日曜朝/新連載】すべての道はガーナー教授に通ず丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第1回

https://lawprose.org/wp-content/uploads/Course-description-Professor-Bryan-A.-Garners-CV.pdf

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

第1回の読了により、得られる情報

読者は、第1回の読了により、Legal Writing in Plain Englishの著者でもある米国のガーナー教授について、同僚や後輩に対して、説明ができるようになります。

ガーナー教授ってどなた?米国最高裁の判決などに最も頻繁に登場するってほんと?

ガーナー教授は「良い法律英語文書を書きたいすべての法律家・法務部員」の師

1. ガーナー教授の影響と法律家・法務部員の現状 私たち法律家・法務部員は、ガーナー教授の書籍から学ぶべき重要なポイントがあります。多くの法律家や法務部員は、重要なことを簡潔に表現するのに苦労しています。これは日本語や英語に限らず、多くの言語で共通の課題です。

2. 現実の課題:長いメールとコミュニケーションの問題 私がAirbnbで経験したように、私たちは従来のライティング方法に固執してしまいがちです。結果として、長くて複雑なメールやメモを書くことが多く、クライアントや事業部がこれらを最初から最後まで読むことは稀です。

3. ガーナー教授の紹介と彼の重要性 ガーナー教授は、このような課題に対する解決策を提供してくれます。彼はPlain Englishの第一人者として知られ、彼の名著の精読は、私たち法律家・法務部員にとって非常に有益です。彼のプロファイルや講演については、Airbnbでの講演やウェブサイト上で公開されている情報を参照すると良いでしょう。黄色下線部はトリビアです。

メモ
  • ブライアン・A・ガーナー氏は、25冊以上の著作で賞を受賞した執筆家です。ガーナー氏は法学、辞書編纂、文法、弁護、および法律草案の執筆に携わっています。
  • 彼の最も重要な著作は『ガーナーの現代英語使用法』第4版で、オックスフォード大学出版局から出版されています。この1,000ページに及ぶ書籍では、英語の単語やフレーズの評価にビッグデータを利用しています。
  • 法曹界では、世界で最も広く引用される法律書である「ブラック法律辞典」の過去5版の編集長として最もよく知られています。彼は米国最高裁判所の意見書で最も頻繁に引用される学者です。過去数10年にわたり、米国最高裁は、その判断の約20%で彼の著作を引用しました。
  • 1990年以来SMUデドマン法科大学院で教鞭を執り、法学研究教授としての称号を持っています。また、テキサス大学法科大学院でも教鞭を執っています。
  • Dマガジンで、著名な作家ポール・キックスは、ガーナー氏を「我々の時代の最高の辞書編纂者」と呼び、ハーパーズ誌で故デイヴィッド・フォスター・ウォレスはガーナーを「特殊な種類の天才」と評し、「彼は弁護士であり辞書編纂者で、それは麻薬ディーラーでありDEAエージェントであるようなものだ(a bit like being both a narcotics dealer and a DEA agent)」と述べています。

原文・詳細はこちらをご高覧ください。

では、次回から、早速、ガーナー教授から一緒に多くを学んでいきましょう。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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