法務エレベータピッチ「TPP11」

*このコーナー(投稿)は、将来、論文・プレゼンテーション・会議・報告書・国内外の上司・同僚との会話に利用できそうな有意義な定義・データ・リンクを短くまとめたものです*



部下の若手組織内弁護士「TPP11が2018年12月30日に遂に発効しましたね。米国の離脱で注目されていた知財ルールの多くが凍結されてしまいました。XXさんは、TPP11で、その他に我が社に影響がある項目など気になる点はありますか?」

あなた「我が社の社長は知ってのとおり、日本企業と外資企業との法的な競争環境をイコールにすることに熱心だ。昨年は、法務に事前相談なく、知り合いの政治家に働きかけて、外国企業のサーバを日本国内に設置することを法制化するように陳情していたそうだ。」

あなた「TPP11に基づくと、TPP域内では、データの保管のための機器類(サーバ)を国内に設置するように義務付けることが禁止されている。いわゆるデータローカライゼーションと呼ばれる動きの1つだ。TPP=条約により禁じられたわけだから『憲法>条約>法律』と習った通りだ。そう、全ての外資企業に対して一律に日本国内にサーバを置くように求めることを義務付ける法律はTPP11違反となるおそれが極めて高い。したがって、実現可能なオプションではなくなったと考えている。社長にはしっかりとレクチャーを入れておこう。

参照資料:2018/12/30付 日本経済新聞 電子版

第14.13条コンピュータ関連設備の設置

第十四・十三条コンピュータ関連設備の設置
1締約国は、各締約国がコンピュータ関連設備の利用に関する自国の法令上の要件(通信の安全及び秘密を確保することを追求する旨の要件を含む。)を課することができることを認める。
2いずれの締約国も、自国の領域において事業を遂行するための条件として、対象者に対し、当該領域においてコンピュータ関連設備を利用し、又は設置することを要求してはならない。
3この条のいかなる規定も、締約国が公共政策の正当な目的を達成するために2の規定に適合しない措置を採用し、又は維持することを妨げるものではない。ただし、当該措置が、次の要件を満たすことを条件とする。

(a) 恣意的若しくは不当な差別の手段となるような態様で又は貿易に対する偽装した制限となるような態様で適用されないこと。
(b) 目的の達成のために必要である以上にコンピュータ関連設備の利用又は設置に制限を課するものではないこと。

深掘り資料2−2−1参照

深掘り資料:

  1. 内閣官房TPP等政府対策本部
  2. TPP協定条文
    1. TPP11協定(英文)
    2. TPP11協定(訳文)
      1. 第14章 電子商取引

(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。


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