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【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第10回―イノベーションの可能性:理論・実践・証拠を統合する(その2)

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
【日曜朝連載】名著『法律家へ激震(Legal Upheaval)』第10回―イノベーションの可能性:理論・実践・証拠を統合する(その2)

◯✕ 問題<正解は末尾>

問1 次の文は正しいか?― 3-4-5メソッドの3つのフェーズはKickOff・Virtual Teaming・ConPosiumで構成される。

問2 次の文は正しいか?― 著者は依頼があれば8週間以下の短期イノベーションサイクルでも引き受けると述べている。

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毎週日曜の朝に更新し、日本では未翻訳の名著に光を当てます。

著者ミシェル・デステファノ氏マイアミ大学ロースクール教授であり、ハーバード・ロースクールのエグゼクティブ教育プログラムでも教鞭を執る法律教育者です。米国法曹協会からLegal Rebelに選出され、フィナンシャル・タイムズでも「最も革新的な弁護士」トップ20の一人と評価されています。

現在、Airbnbのグローバル法務で各国のリーガルテックに触れる中で、本書のポイントを自分なり取捨選択して謹んで共有したいと考えました。学びの途上として整理した私なりのメモを、毎週日曜朝に全12回でお届けします。

本連載を最後までお読みいただければ、法律事務所でも企業でも「新しい時代の法律家」に求められる視点をデスゲファノ教授から学べると思います。本書から共に学ぶ時間を、私自身も楽しみにしています

Michele DeStefano, Legal Upheaval: A Guide to Creativity, Collaboration, and Innovation in Law (Ankerwycke 2018). [Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

理論編:創造性・協働・イノベーションのための7つの本質的体験

デスゲファノ教授によれば、「3-4-5メソッド」は、法律家が創造・協働・革新を体得する四か月間の実践プログラムです。KickOffで人格診断や即興ゲームを用い、心理的安全性と共通規範を築きます。続くVirtual Teaming期では、ビデオ必須の「Quanルーム」と複層的コーチングを活かし、問題発見・共感・試作・検証という5段階を反復しながら進捗を小さく祝う「プログレス原理」で動機を維持します。チームはハッカー・メンター・コーチなど役割を明確化し、リングリーダーが全体を統括します。ConPosiumは試作品と事業計画を多面的に審査し、成功も失敗も学習資源として称える祝祭で、成果を組織文化へ定着させます。

なお、4か月という長期は、弁護士特有のリスク回避傾向を超えて行動変容を起こす臨界時間であり、これを短縮すると質が担保できないとデスゲファノ教授は強調します。

<本日の答え合わせ>
◯✕ 問題


問1 次の文は正しいか?― 3-4-5メソッドの3つのフェーズはKickOff・Virtual Teaming・ConPosiumで構成される。
答 ◯

理由 本文では「3つのキー・フェーズ」としてKickOff、Virtual Teaming、ConPosiumを明示しているため正しい

問2 次の文は正しいか?― 著者は依頼があれば8週間以下の短期イノベーションサイクルでも引き受けると述べている。
答 ✕

理由 本文では「8週間では失敗を招くので私は引き受けない」と断言しており、短期実施を明確に拒否しているため誤り。

お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。

原著購入の推薦 最後に、本書は「AI時代」到来前の2018年に刊行されながら、リーガルオペレーションや「テック×法務」を先取りし、リーガルテック導入時に直面する障壁を分かりやすく説明しており、非常に学ぶ価値の高い書籍であると考えています。もし研究・実務などでご関心があれば、右のURLからぜひご購入をご検討ください。[Amazonで原著購入― ハードカバー版のみ]

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。