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【日曜朝連載】Gone with the Shall – シャルと共に去りぬ丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第36回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「将来は、グローバルな力も高めたい…でも、英文契約書は怖い」「法律英語が上達しない」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、私たちに「すべての法律文書に共通する」20のルール(連載第1回〜第21回参照)と、「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」(連載第22回〜第31回参照)の10のルールを教えてくれます。

いよいよ、第3章「法的ドラフティングの原則(PRINCIPLES MAINLY FOR LEGAL DRAFTING)」に入りました。この章を一緒に読んでいくことで、読者の皆さまはリーガルライティング(英文契約書のドラフトを含む)の基本原則や実務に役立つ技術を学ぶことができます。ガーナー教授の教科書を精読することで、法律英語の力をさらに一段階高め、より高度なレベルに引き上げていきましょう。

§35. Replace every shall.

講義ノート

ガーナー教授は、法的文書(legal documents)での「shall」について、多くのページ数を使って、熱く「Shallはダメ」と述べています。

教授によれば、「Shall」は曖昧で誤解を招くことが理由です。「shall」は義務を示すべきですが、「may」「will」「is」など他の意味にも使われ、法的に曖昧であり、教授の分析によれば、裁判所でも解釈が分かれる例が多いようです。そこで、ガーナー教授は、代わりに「must」や「will」を使うべきと述べます(「must」は強制的な義務を示し、主に法的規則や非交渉型契約で使われ、「will」は約束や未来の行為を示し、交渉型契約で使用されます)。多くの法曹団体も「shall」を排除する動きを進めていることが取り上げられており、文書全体の可読性と正確性が向上させるため、「shall」を用いないことは大きな流れであるようです。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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