【日曜朝連載】段落と段落をつなぐ魔法の「接続語」をマスターする丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第27回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「英文契約書は好きでない」「法律英語が上達しないのはなぜ」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、まず「すべての法律文書に共通する」合計20のルールを提供してくれます(連載第1回〜第21回参照)。

第2部では、ガーナー教授が「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」を厳しく鍛えます。私は外資系企業で合計12年以上勤務しており、「英語で読み書きできる」だけでなく、「分析的・説得的に働いてくれる英語の技術」が求められていることを痛感しています。

あなたの英語は、誤解があれば恐縮ですが単に日本語を英訳しただけの「情報伝達の機械的なソースコード」になっていませんか?(私はこのフィードバックをもらったときは悩みましたが、前進を決意しました。)

情報は文字として伝達(トランスミット)されるだけでは不十分で、相手に影響を与え、こちらが期待する行動変容や回答を引き出すために「分析的・説得的に働く」必要があります。第2部では、英語の「羅列」から「伝わる英語」への進化を一緒に勉強していきましょう!私もまだまだ未熟ですが、精読を通じて皆様と一緒に成長したいと考えています。

要点

メモ

前回、ガーナー教授は、「分析的および説得的な英語ライティング技術」(analytical and persuasive writing)のために1つ1つの段落を「強く」するテクニックを教えてくれました。今回は、1つ1つの段落同士を繋いで、導くためのテクニックが紹介されています。教科書には、ガーナー教授が自ら書いた模範例がありますので、ぜひチェックしてください。ここではあくまでもハイレベルな要点のみご紹介しているにとどまります。

  • パラグラフを明確にリンクさせるためには、各パラグラフの冒頭にトピックセンテンスを配置すること
  • 「移行句」(transitional or bridging word or phrase)を使うこと
  • 読者が新しいパラグラフが「前の内容を拡張するのか」(amplifies what has preceded)、「対比するのか」(contrasts with it)、その他の方法で続くのかを直感的に理解できるようにすること

具体的な技法としては、ポインティングワード(this, thatなど)、エコーリンク(echo links)、明示的な接続詞(explicit connectives)(also, thereforeなど)を使用します。これらの技法を使いこなすことで、読者にとって読みやすく、論理的に一貫した文章を作成できます

ContextPhrases
When adding a pointand, also, in addition, besides, what is more, similarly, nor, along with, likewise, too, moreover, further, another, as well as
When giving an examplefor instance, for example, as one example, to cite but one example, for one thing, for another thing, likewise, another, suppose, say, imagine, consider, take
When comparingsimilarly, likewise, in the same way
When restatingin other words, that is, this means, in simpler terms, in short, put differently, again, in sum
When introducing a causebecause, since, when
When introducing a resultso, as a result, thus, therefore, accordingly, then, hence
When conceding or qualifyinggranted, of course, to be sure, admittedly, though, even though, even if, only if, true, while, naturally, in some cases, occasionally, if, while it might be argued that, despite, even assuming
When pressing a pointin fact, as a matter of fact, indeed, of course, without exception, still, even so, anyway, the fact remains, assuredly, all the more reason
When narratingthat is, then, earlier, previously, meanwhile, simultaneously, now, immediately, at once, until now, soon, no sooner, that being so, afterward, later, eventually, in the future, at last, finally, in the end
When summing upto summarize, to sum up, to conclude, in conclusion, in short, in brief, so, and so, consequently, therefore, all in all
When sequencing ideasFirst, … Second, … Third, … Finally, …
Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press. pp.125-131

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

関連記事

<後日更新いたします>

***

ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

渡部推薦の本丨足りない、は補えばいい