Gizem Yalcin and Stefano Puntoni (2023). How AI Affects Our Sense of Self – And why it matters for business, Harvard Business Review, 101(5), 130-136.
メモ丨プロダクトデザイン
1. AI技術と製品デザイン
- 製品の中に組み込まれるAI技術や先進の自動化機能は私たちの日常生活や仕事に革命をもたらしている。
- 例: iRobotのRoomba、TeslaのAutopilot、Juraの全自動コーヒーマシン、IBMのWatson、AdobeのAI、Toyotaの自動化ツール、OpenAIのDALL-EとChatGPTなど。
- 主な疑問:これらの自動技術との相互作用が私たちのアイデンティティや達成感にどのような影響を及ぼすのか、そして、製品の需要にどのような影響を及ぼすのか。
2. アイデンティティベースの消費と自動製品
- StefanoとEugina Leung (Tulane大学)、Gabriele Paolacci (Erasmus大学ロッテルダム)による研究では、人々の活動(例えば、釣りや料理、運転など)と自分のアイデンティティを結びつけると、自動化技術がそのアイデンティティを脅かすものとして感じる場合があることを発見。
- オランダのサイクリング研究: サイクリングとアイデンティティの関係を強化するエッセイを書かせた後、無料のペダルアシスト機能に対する興味を測定。サイクリングに関するエッセイを書いた参加者は、この機能を受け入れる可能性が20%低かった。
- Maria Cristina Cito (Bocconi大学)との別のプロジェクトでは、デジタル製品がアイデンティティを表現するのが難しいと感じることが明らかに。
- 例: Kindleに収められたシェイクスピアの全作品よりも、リビングルームの本棚にその同じコレクションがある方が、文学的アイデンティティを強調する。
3. 技術進化への抵抗とビジネスへの提案
- 人々が特定の製品カテゴリーや製品を通じて自らの信念や個性を表現する場合、製品の技術的強化に対して抵抗感を持つことがある。
- 提案1: 企業はアイデンティティに動機づけられた消費者をフルオートメーション製品でターゲットにすべきではない。また、そのような消費者をターゲットにする場合、ユーザーが誇りを感じ、関与できる特長やタスクに焦点を当てるべき。
- 提案2: 企業は市場調査を行い、自動化がアイデンティティの脅威を引き起こすリスクがどれだけあるかを評価するべき。
今日はここまで。引き続きどうぞよろしくお願いします。1歩1歩。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。
ハーバード・ビジネス・レビュー最新号(英語)に掲載された論文をノロノロ読んでおります。後日、講演や文献で利用できそうな気になる論文を備忘的にまとめています。心理学学士・認定心理士を取得してますます人の心理に興味がひろがっており、次にワクワクと興味を強くもったのが、『AI(製品)が私達(人間)の自己意識に与える影響』を論じた論文でした。
今回の章は特に唸りました。ポルシェの「自動車」が完全自動運転になったら(そうでなくても718がタイカンのように電気自動車になるのも少しまだ抵抗がございます)、確かに、抵抗感があるかもです。
なお、英語力に乏しく、自身の理解に限界があるため、必ず、ご自身で原典をご購読・ご精読いただけたら幸いです。