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ビル・ゲイツ氏に喜んで頂く理論

出典: Häagen-Dazs Japan,Incorporated
弁護士 渡部友一郎

30代10年計画に記している私自身のミッション『着想・達成欲・目標志向・社交性・学習欲の5つの強みを生かした最高のアドバイス(法律に限らない。)を提供し、多くの種を蒔き育て、心から喜んでもらえるため、注意深く、欺瞞なく、本物の努力を続けること。』

今日は「心から喜んでもらえるため」について、個人的な考え方を、少しお話させてください。

想像してみてください

(1) 友人が主催するイベントへ参加表明

ある日、SNSを見ていたあなた(弁護士)は、お世話になっている友人弁護士Aさんが主催者となり、自ら「司法試験直後の受験生を労う会」を企画していることを知りました。

イベントの日時に特に重なる予定はなく、あなたは、ワクワクとイベントに参加したいという気持ちになっています。

告知を見たところ、どうやら100人規模の大きめのイベントのため、Aさんは、出欠事務効率化のため「Google Form」で参加申込を募っています。さて、あなたはどのように参加表明しますか。

(2) 考えうる選択肢

  1. ポチ。Google Formで「参加します」を選択して送信。
  2. ポチ+カタカタ。①に加えて、自由記載欄に「何か手伝うことがあったら教えてね!」と書き加えて送信。
  3. ①②に加えて、100名の出欠処理や会場準備で準備で超多忙であろうAさん(いちいち備考欄を見ていないし、社交辞令の可能性もあるので、通常、「手伝って」とは切り出しにくい)を察して、メッセージをして「◯◯ができるよ」とHelpをOfferする。

Case by caseであり、唯一無二の正解は存在しないのですが、Aさんが「心から喜んでくださる」可能性が比較的高いものとしては、③が有力な選択肢になると思います。

司法試験受験生の就活、弁護士の転職、その他お仕事の色々な場面でも、私達は人間なので完璧ではなく盲点・欠点を多くそれぞれかかえていますが、何気ないアクション1つで立ち止まり「準備」すると、より最適な喜んでくれるプランが浮かぶ可能性があります。

私の場合

今日は「心から喜んでもらえるため」について、個人的な考え方を、少し敷衍してお話させてください。

STEP

リンクドイン創業者でAirbnbの初期投資家の1人でもあるリード・ホフマン氏の著作『スタートアップ! シリコンバレー流成功する自己実現の秘訣』を想起する。

解説ビル・ゲイツ氏は世界有数の富豪であり、会いたいと思えば米国大統領含め誰にでもきっと会えるし、貴方に貰うまでもなく、買いたいものがあれば自ら秒で買えるでしょう。そのようなゲイツ氏に、もし、「喜んでいただく」とすればどうすればいいだろう?

ホフマン氏は、ゲイツ氏が欲していて貴方だけが持っているものを考えろ、と説きます。

例えば、貴方が大学生だったら、「貴方の大学で最近流行している新しいネットサービスの話題はどうだろう」― 世代が異なれば若い方の最新のリアルな情報にふれることは難しい。このように、ホフマン氏は、あのビル・ゲイツ氏が喜んでくれることはなんだろうか、という素晴らしい例題を挙げて、人の役に立てることを探すことを教えてくれます。

STEP

本件の場合、ビル・ゲイツ氏理論を応用すれば、貴方の想像力は広がります。

具体的な例

Aさんがスポンサーを探していれば(受験生は参加費無料、となれば、資金は潤沢な方がいいので探していない可能性は低い)知り合いの法律事務所の採用担当者(司法試験受験生=採用母集団にアプローチしたいニーズがある)を紹介するというアイデアもありかもしれません。

次に、もっと簡単なものとして、Aさんが会場設営・運営に人を必要としていれば「受付やろうか?」「少し早く行って設営手伝うよ」「きっとわかりにくい場所だからエレベータの下でボード持って誘導しようか?ボードはもちろんプリンタか何かで作っておくよ。」など、色々とアイデアは浮かびます。司法試験の問題文と同じで、Aさんの告知の中に十分ヒントが散りばめられています。貴方は無意識に読み飛ばしていませんでしたか?

さらに深く、Aさんとしては、受験生達にとても楽しい時間を過ごして欲しいと思うはずです。そうだとすると、何かエンターテイメントを提供できないでしょうか

STEP

このようなブレストの準備をざっと終えます。

解説といっても、何も1時間考えろと言っているのではありません。Aさん、受験生の皆様、参加する弁護士、会場、食事などなどキーワードを眺め、3分あればアイデアはいくつかでてくるでしょう。

STEP

さて、ここからが渡部さん個人のjust an ideaですが、選択肢を組み合わせることで、「最も大きなインパクト」が出るものを着想選定します。

解説 今回、私は、Aさんに対して、「司法試験受験生70名が、イベント終了時に手渡される袋(法律事務所のスポンサー様のチラシなどがはいった袋)に入れてお持ち帰りいただける、ハーゲンダッツギフト券(1枚で2個引き換えができる🎁)を、自らの負担で、提供させてください」というアイデアを差し上げました。

また、ギフト券は、①お忙しいAさんの追加作業が極力生じないよう(昔、株主総会のお土産を詰める仕事をしたことがあり、本当に煩雑で大変な作業だった経験がある)、ギフトカード販売社側での「封筒への事前封入」を選択し、②ハーゲンダッツの包装で丁寧に包まれ、さらに、③熨斗には「Aさん」の名前を最初に入れていただけるよう、追加オプションをセットしました。

ここでの想像力のポイントはいくつかあります。

  1. 大切なAさんのみならず、Aさんが大切にしたいスポンサー様にとっても、相乗効果があるギフトを考える。想像してみてください、イベントで貰った「広告・チラシ」―残念ながら結構な割合でゴミ箱行きですよね、下手すると袋ごと駅で(帰宅前に)捨てられます。何なら手ぶらがいいので、受け取ってもらえない可能性もあります。これに対して、「ハーゲンダッツギフト券が中に入っています、帰りに受け取ってください」といえば、きっと受験生の方は袋を受け取り、可能性としては、駅で捨てずにひとまず家まで持ち帰ってくれる可能性が高まる。こうして、Aさんの大切なスポンサー様もチラシを読んでいただける可能性が高まり、インパクトは大きくなる可能性があります。
  2. 次に、Aさんの手間です。ここでプレゼントが「マグカップ」とか重量物だとどうでしょうか。そもそもマグカップは受験生なら「ほしくない」ので落選です。袋に入れやすい、受験生も持ち帰りやすい、特別なロジが生じにくい(なお、袋にチラシとともに入れて頂くお手間には感謝)🎁を選びました。
  3. さらに、季節感とワクワク感です。私はいつも特別なチョコレート屋さんのチョコをお贈りすることが多いのですが、この季節、チョコはAさんにも受験生にも溶けやすいもので、ベストな贈り物ではございません。むしろ、猛暑の折、一番食べたいのは冷たいものです。そして、自分の受験生時代を振り返れば、物価高の昨今、ハーゲンダッツは高級品であり、もっと廉価な「アイス6本セット=ハーゲンダッツ1カップ」を買うと思います。受験という戦いを終えた受験生を労うためにはsomething specialが必要です。
  4. さらに、私自身があれこれギフトカードを自ら発注し、開封する体験(Apple製品を開封する瞬間を思い出してください)や使用のワクワクを試したところ、この「ハーゲンダッツギフトカード🎁」は極上です。
    1. ギフトカードにもいろいろあります。
    2. Aギフトカード:なんでも買える大手ECショッピングサイトのギフトカードは、汎用性が高いものの、実際、あなたが過去にもらったAギフトカードが何円だったか、誰に貰ったか、最終的に何を購入するために使ったか明瞭に逐一覚えていらっしゃいますか?多分、体験としては、多少のギフトボックス感があれ、コードをカチカチ打ち込んでチャージして(カード自体は)ポイですよね。体験としては、金額がよほど想像以上(逆にAギフトカードを数万円頂いたらすごく特別感ありますよね、最初だけ。)でないかぎり「想定の範囲内」として、脳もワクワク反応しない可能性があります。要は、体験としては、リアルな現実としては、ATMに入金する現金以上の体験にはなりにくいわけです。
    3. ファミレス/飲食店のギフトカード:行くのがめんどくさいので失効確率高い。ギフトカードはpro/conがあり、短所としては、「使えないストレス」を考慮する必要があります。貰ったのに使えない=失効する=損した気分になる、というのは体験としてはネガティブな側面を含みます。この点、スタバカードは汎用性が高く、好き嫌いが少ないものの、失効確率も低くなく、悩みます(この点、e-giftカードとしては秀逸なので、遠隔地や普段お会いできない方には、お誕生日プレゼントによく心を込めてメールでお贈りしております。)
    4. 横浜の某シュウマイギフトカード:お詫びの品で頂いたことがあるのですが、3同様使う場所がなく、残念ながら、失効してしまいました。
    5. ハーゲンダッツ:Exceptional。携帯性が高い、お財布とともに。まずコンビニで交換できるので、失効率が高くないので◎。交換のために遠出(買いに行かなきゃ)負担感も都市部では少ない。さらに、1枚で2つ交換できるので、大切な方のみならず、大切な方の恋人やご家族と楽しんでいただける。さらに、交換に際して、味が選べるため、「どれにする?ふふふ」という会話が生まれる可能性があり、楽しんでいただける時間が相対的に長い。特にお子様をお持ちのご家庭では、お贈りしたパパさんママさんに喜んでいただけるだけでなく、その大切なご家族全体で楽しんでいただけるので秀逸。さらに、タイミングも、ご家族で選んでいただけるため、財布に入れておいていただければ、何かの外出の折に「帰りに、Aさんから頂いたハーゲンダッツ券があるから、ちょっと奮発してハーゲンダッツ買って買えろうか。」という幸せな会話がうまれそう。もちろん、ソロでも、2つ選べて、冷凍庫に「お楽しみ」として貯蔵できる。ハーゲンダッツ…ぜひ皆様のチョイスに加えていただけたらです。
  5. その他、このような大小様々なあれこれ、何よりAさんが喜んでくださり、受験生がイベントを長く記憶してくださるものをお贈りする、そして、脇役としてここを履き違えるとすべてがパァになります、あくまでも主役は主催者Aさん、大切な後輩である彼に一番喜んでいただくことを忘れないでください、受験生・主催者・スポンサー様を最大限輝かせる場面を想像し、わくわく、やりがいを持って準備しています。

振り返り│準備 x 100(ビル・ゲイツ氏が喜んでくださるもの理論)

ホスピタリティは準備です。

上記の思考プロセスや準備は、私がもともと「下手」くそだから、このように1つ1つ丁寧に考えています。普通の人は、もしかしたら、これを考えなくても、自然にかつ瞬時にプロセスできるのかもしれません。しかし、私の脆弱性として透明性を持ってお話すると、私はだれかに喜んでいただけることに準備が必要であり、エネルギーを要します。

昔は、もっと普通の人みたいに自然にこういう気遣いが沢山できたらなと思っていましたが、人間は誰しも欠点や欠陥を抱えているものですし、むしろ、普通の人が考える時間をあまりとらないことを丁寧に「準備」して行える分、結果的には、より良いアイデアが生まれている(かもしれない)という点では、この欠陥・欠点に感謝しております。

駄文でしたが、何か皆さまにとって1mmでもお役に立てば、嬉しいです。ぜひ何かのイベントの際には、あなたのビル・ゲイツ氏を喜ばせてみてください。結果的に喜んでもらえなくても、そのプロセスが学びであり、次の、ビル・ゲイツ氏を喜ばせる経験値となります。どんどんアイデアを着想し実験してみてはいかがでしょうか。私も日々学んでいるところでございます。

今日は「心から喜んでもらえるため」について、個人的な考え方を、少しお話させていただきました。たった1枚のハーゲンダッツギフトカード🎁の深淵(アビス)をお楽しみいただけたでしょうか…中には、いちいちこのようなことを考えていて疲れませんか?と呆れられたかもしれませんが、読み物としてお楽しみいただけたら嬉しいです。

私もさらにこの「心から喜んでもらえるため」の準備を磨きたいですし、Happy to helpです。

出典: Häagen-Dazs Japan,Incorporated

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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