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David Livermore (2025). Leading Global Teams Effectively – Avoid the Western assumptions that often derail cross-cultural work, Harvard Business Review, 103(3), 112-119.
全体像丨わかりやすくまとめてみる
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今回は例え話を準備するのに手間取ったのですが、この論文は「世界選抜リレーチームの物語(映画)🏃💨」に置き換えると分かりやすいです。多分。
目を閉じて下さい―ここは、ある国の「国立競技場」の一角。国も文化も違う「個性的な」4人の選手が、国際大会に向けて初めて顔を併せました。キャプテンは西洋流のやり方で「各自の裁量でベストを尽くそう」と声を掛け、やる気アップのために、「Runner of the Month」の個人表彰も導入しました。
ところが、集団主義を重んじる選手、さらに、上下関係を重んじる選手は戸惑ってしまい、バトンゾーンでも合図が揃わず、練習は空回りします。分裂しそうな4人⋯。
そこで、伝説的なコーチはやり方を変えます。
受け渡しの合図と位置を全員で標準化し、表彰は「Team of the Month」へ切り替えます。意見提出は1対1、文書、グループ提出の3経路を用意し、まず各自でメモを書いてから共有するルールにしました。すると、静かだった選手の視点が自然に混ざり、提案が増えていきます(自律の過剰を調律)。
次第に雰囲気は穏やかになりましたが、日々のミーティングは当たり障りのない話に流れます。そこで、コーチはチームで明確な規範を共創しました。「6週間以内に3会場でテストする」「『質問はあるか』ではなく『どんな質問があるか』と必ず聞く」。発言順も工夫し、先に若手や少数派から意見を出す時間を確保します。程なく、厳しさと率直さが戻り、必要な異論がテーブルに上がるようになりました(心理的安全性と知的誠実さの両立)。
それでも、国ごとの走り方や価値観の違いがぶつかる場面は残ります。そこで、コーチは「視点取得」の練習を導入しました。選手同士がもし対立したら、相手の立場で自分の主張を1人称で書いてから話すこと。また、「誰が正しいか」ではなく「全員で大会記録を1秒縮める」に目標を再定義しました。共通目標に結び直された議論は実務的になり、受け渡しは滑らかに、記録も着実に縮まっていきます(差異の過剰強調を抑え、成果に集中)。
個別丨本日のポイント
はじめに、本論文は、「自律の過剰を調律する、すなわち、個人主義前提を世界標準に合わせる」を説きます。
- 筆者は、GLOBE Leadership Studiesを挙げて、世界の労働力の70%が集団主義かつ階層志向であると示しつつ、西洋で訓練された管理職の自律重視は、こうした文脈で動機づけを損ねる恐れがあると指摘する。
- 本論文によれば、Geert Hofstedeは、個人主義文化では「諮問」を期待し、集団主義文化では「リーダーの決定」を好むと報告し、Erin Meyerは「集団主義のリーダーは明示的に意見を募らずとも部下の視点を織り込む」と補足する。
- 筆者は、McDonald’sはインドで「Employee of the Month」が嘲笑の対象となり、表彰を「Team of the Month」に改めて機能した事例を共有する。
- そのうえで、筆者は、架空の事例として、読者のイメージを広げる事例を提供する。
- 年商300億ドル、75超の国で事業を展開するEverfresh(仮名)は「Speak Up」を再設計し、口頭や個人の提案に限らず、集団で取りまとめたフィードバックや非公開の提出も許容した。中間管理職向けに非言語や権力距離を読み解く訓練を行い、ブレインストーミングはまず各自で記述してから共有、提出様式は1対1・文書・グループ提出を併用した。個人の達成のみならず集団の安定や成功を評価軸に加えた結果、各地域からの建設的提案が増え、エンゲージメントも改善した。
30秒考えてみよう。
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(了)
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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。
(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。