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弁護士にも誤解の多い「心理的安全性」とは?[2/3]丨HBR2025年5-6月号の掲載論文

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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。

(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。

一緒に学ぶ論文はこちら

Amy C. Edmondson and Michaela J. Kerrissey (2025). What People Get Wrong About Psychological Safety – Six misconceptions that have led organizations astray, Harvard Business Review, 103(3), 52-59.

全体像丨わかりやすくまとめてみる

<わかりやすくまとめてみる> 本論文の主題である「心理的安全性」を理解するには、多くの方が大学時代に経験した「ゼミ発表 🙋」を思い浮かべると分かりやすいです。ゼミでは、発表者だけでなく聴き手も自由に質問や意見を出し合うことで、議論が深まります。しかし、「教授に怒られないように静かにしておこう」と沈黙が続くと、間違いや新しい視点が見えなくなり、最終的にゼミ全体の学びが浅くなってしまいます。心理的安全性とは、この「遠慮なく問いを投げ、互いに率直に意見を交わせるゼミ」をつくることです。心地よく仲良しでいる「仲良しクラブ」をつくることが目的ではありません。むしろ、ときには耳が痛い指摘も歓迎し、「良い意見は称賛し、問題点は建設的に指摘する」文化を保つことで、ゼミ生全員が成長できます。さらに、学期ごとに発表の進め方やフィードバック方法を見直していくことが、安全な議論の場を持続させる鍵になります。

個別丨本日のポイント

  1. 筆者は、心理的安全性は「解雇されない権利」でも「成績甘やかし」でもないと説きます。
  2. 2023年1月、Googleが12,000 人をレイオフした際、「心理的安全性に反する」と投稿した社員がいました。
  3. しかし、筆者の考えによれば、当該社員が経営陣を公然と批判できた事実こそ、安全性が機能していた証拠であり、心理的安全性を雇用保障や「自分の意見が必ず採用される保証」と混同する誤解は根強いと指摘しています。
  4. なお、筆者は、高基準を求めることに対しても、親和的立場をとります。情報隠しやグループシンクは失敗率を高めるため、厳格な目標設定と率直なフィードバックを両立させる設計こそが、変化の激しい市場で成果を生み出す唯一の道であると説きます。

30秒考えてみよう。

  • 皆さんはどう思われますか?
  • 組織内弁護士・法務部として「企業内」で活用できる場面はありそうでしょうか?
  • この論文をシェアしたら喜びそうな事業部の方はいらっしゃいますか?(Web版は月1−2記事無料で読めるので、探してシェアしてみてはいかがでしょうか?)

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。