
1. 今週の注目記事
トランプ氏、大統領令で敵視する法律事務所を「出禁」 広がる波紋
掲載紙:日本経済新聞 | 掲載日:2025年6月20日 | 記事URL: 記事URL
2. 組織内弁護士の視点
法律事務所を「出禁」 とは?
記事によれば、トランプ大統領は2〜4月、ポール・ワイスやジェナー・アンド・ブロックなど「敵対的」と見なす大手6事務所を連邦施設への立ち入り禁止とし、機密資格を停止する大統領令を発出しました。ポール・ワイスら3社は退役軍人支援など総額約10億ドルのプロボノ提供で令撤回と取引した一方、ジェナー・アンド・ブロックを含む4社は修正第1条違反として提訴し連邦地裁で差し止めを獲得。ABAも6月16日に威嚇行為差し止めを提訴しました。取引事務所では幹部流出やマイクロソフトを含む11社の顧客離れが生じ、法律事務所選定に政治的距離感が影響しつつあります。日本企業も案件の性質に応じ、事務所の政権との関係を精査する必要があると指摘されています。
組織内弁護士の視点
組織内弁護士として、まだ学びの途上ではありますが、今回の日経記事は「事務所の政治的スタンスが案件成否を左右し得る」という点を再認識させてくれました。DE&Iの観点からは既に共有されていた情報でも、実務では①委託先となる米国法律事務所の姿勢を可視化し、②日本側主担当事務所と開示レベルや利益相反管理を事前に擦り合わせ、③必要に応じて自社が直接現地事務所を選定・監督できる体制を準備する―という三段階のチェックが欠かせません。まだ試行錯誤の段階ですが、社内外の多様な知見を取り込みつつ「誰が最も自社の利益を守ってくれるか」を謙虚に見極めていく必要があるかもしれません。
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(了)
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日本経済新聞の月曜版「税・法務」は、多くの法務部門や弁護士の方がご覧になっていると思います。今週の注目記事を取り上げながら、皆さまのご意見も伺えれば幸いです。学びの途中ではありますが、情報交換の場として活用いただければと思います。