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新規論説丨渡部友一郎「法律業務が楽になる心理学の基礎(12) 集団『の』プロ」月刊登記情報754号(2024年)66-71頁

お世話になっております。心理学(学士)・認定心理士で学んだことを共有したいと考え、一生懸命に執筆にも取り組んでおります。連載情報の更新です。

渡部友一郎「法律業務が楽になる心理学の基礎(12) 集団『の』プロ」月刊登記情報754号(2024年)66-71頁

集団間葛藤(人間あるある)がテーマです

「集団間葛藤」とは、異なる集団間で生じる対立や争いを指し、社会心理学の中で重要な概念の一つです。この葛藤は、競争や利益の衝突、異なる価値観や目標を持つ集団同士が出会うことで引き起こされることが多く、偏見やステレオタイプ、敵意がエスカレートしていくことが特徴です。本稿でも取り上げたシェリフらによる有名な実験では、集団間葛藤のメカニズムが明らかにされました。この実験は、以下のようなステップで進められました。

  1. グループの形成(内集団の結束): 11歳の少年24人を「ラトラーズ」と「イーグルス」という2つのグループに分け、それぞれのグループ内で結束を高める活動(キャンプファイヤー、野外活動など)を行わせました。この段階で、各グループは「自分たちのグループが優れている」という内集団バイアスを持ち始めました。
  2. 競争段階(集団間の対立): 両グループが互いに競い合う状況を設定し、野球や綱引き、テント張り競争などを行わせました。この結果、少年たちは「相手チームに勝ちたい」という競争心が高まり、相手グループに対して敵意を抱くようになりました。この段階では、対立が激化し、物を盗んだり、相手の宿舎を襲うなどの敵対行動が見られるようになりました。
  3. 対立の解消(協力行動の導入): その後、研究者たちは、両グループが協力しなければ達成できない「共通の目標」を設定しました。例えば、水を運ぶトラックが壊れた場面では、両グループが協力してロープを引き合い、トラックを動かすという課題に挑みました。このように、共通の課題を解決するための協力行動を通じて、グループ間の敵対意識は徐々に減少し、最終的には友好的な関係が形成されました。

この実験は、集団間の対立が、競争や利益の衝突から生まれるだけでなく、グループ間の協力を通じて解消できることを示しています。集団間葛藤を和らげるためには、本稿でもご紹介しているような効果的です。その方法とは…?

下記には他の連載の記事もございます、ご興味があればご高覧ください。引き続きご指導ご鞭撻をどうぞよろしくおねがいします。

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(了)

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