【日曜朝連載】and/or と 複数形を避ける知恵丨名著精読!『Legal Writing in Plain English』第38回

問題の所在+ソリューション[各連載回に共通]

Problem Statement (問題の所在)「将来は、グローバルな力も高めたい…でも、英文契約書は怖い」「法律英語が上達しない」「欧米弁護士の思考で英語の法律文書が書けない」― 法律英語のライティングの悩みは日本の法律家に共通します。私も、です。

ソリューション 2022年、Airbnb法務部の研修で、魔法のような体験がありました。名著『Legal Writing in Plain Englishガーナー教授から直接学ぶ機会があったのです。「できなかった」理由がすっと理解できました。そこで、毎週1記事、名著を「分析」し、一緒に(同期やライバル達よりも)法律英語に少しだけ強くなっていきませんか? ― 精読して蓄えていきましょう。

想定する読者 法律家・法務部門・司法修習生/ロースクール学生の皆様

読了により、得られる情報

ガーナー教授の教科書は、私たちに「すべての法律文書に共通する」20のルール(連載第1回〜第21回参照)と、「あなたの英語を、分析的・説得的に働かせる技術」(連載第22回〜第31回参照)の10のルールを教えてくれます。

いよいよ、第3章「法的ドラフティングの原則(PRINCIPLES MAINLY FOR LEGAL DRAFTING)」に入りました。この章を一緒に読んでいくことで、読者の皆さまはリーガルライティング(英文契約書のドラフトを含む)の基本原則や実務に役立つ技術を学ぶことができます。ガーナー教授の教科書を精読することで、法律英語の力をさらに一段階高め、より高度なレベルに引き上げていきましょう。

§37. Replace and/or wherever it appears 及び§38. Prefer the singular over the plural.

講義ノート

ガーナー教授は、法的文書(legal documents)において:

①「and/or」は誤解を招きやすく、法的文書では避けるべきと述べます。文脈により「and」や「or」と異なる意味を持ち、誤解や訴訟の原因になります。また、法廷でも批判されることが多い表現と指摘して、代わりに明確な語を使用し、文章の正確性を高めるべきとします。

②「複数形」について、法的文書では避けるべきと述べます。原則として、「単数形の使用を優先する」ことを推奨しています。複数形は誤解を生むことがあり、例えば「people may not set off fireworks」の場合、「個人」(=peopleでないから)には適用されないと解釈される恐れがあります。単数形にすることで、より明確で適用範囲を誤解なく伝えられます。

ガーナー教授の教科書(第3版)―敬意をもって強く推薦―

Garner, B. A. (2023). Legal Writing in Plain English, Third Edition: A Text with Exercises. Chicago: University of Chicago Press.

現在・将来、英文の法律文書を扱う法律家・法務部員の方は必携です(Amazonを見る

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。

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