1. 本日の相談室(火曜日朝のみ営業)
共感 今回のご相談も「う…わかる(涙)」と思いました。きっとご質問者様も責任感が強く、内心では「あなたの部署の仕事でしょっ」ってイライラしながらも、期待にこたえてしまって、断りきれていないのではないでしょうか。前回同様、今回の根底にも「フェアではない」という仕事の押しつけられた感がお気持ちとしてあるのではないかと拝察しております。これは人間として自然なお気持ちで、何ら否定されるべきものではないと考えています。
私なりに心を込めた回答 大切な悩みのご相談、改めて、ありがとうございます。私にも盲点があると思うのですが、アイデアのご提供として、以下をシェアさせてください。
- way of working セッションの開催:まず、他部門のチームを対象に、法務部・相手方の部の基本的な役割と責任範囲についてセッションを開催することをお勧めします。これは、法務部の業務がどのようなものであるか、また何を期待されるべきではないかを明確にする機会となります。というのは、コーポレートの業務は、当然、重なり合っているので、パズルのように全部のピースが隙間なくうまることはありません。だからこそ、ふわっとしている部分について、会話をすることが大切です。リーガルリスクマネジメントにおいてもすべての過程で「協議・コミュニケーション」が求められるように、ここでも会話が最初の第1歩です。
- Zone 1, 2, 3の共有と合意:私も同じ経験があります。ある人によっては、他部門の仕事に「領空侵犯」されていると感じる方もいますし、逆に、本件のように「あなたがうちの玄関まで掃除してあたりまえ」的な近隣関係を想起させるような勝手な期待が生じています。Airbnbですごく役立ったのは、上記1と似ていますが、セッションを設けて、Zone 1-3 (それぞれの部署の職域)について確認をする機会でした。簡単に言えば:
- Zone 1:侵害されない法務の職域(法務のコアの仕事:プレスリリースで言えば記載の法的な正確性―M&Aや会社法関係のプレスリリースなど)
- Zone 2:他部門と重なり合う職域(法務と広報の仕事が重なり合うエリア:プレスリリースの画像の使用許諾チェック―結論、どちらの仕事でもいいが、割り振りを話し合っておく)
- Zone 3:法務が口をだすべきではない職域(言い換えれば他部署のZone1―どのメディアに記者レクをおこなうかなど)
- さて、誤字脱字チェック ですが ☞ 100%正解はないと思いますが、私の感覚では、広報の仕事だと思います。私達法務部は「校正家 (proof reader)」ではないからである。皆様はどう思われますか?
教科書該当箇所 渡部友一郎『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』182-185頁(日本加除出版、2023)
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※お寄せいただいた大切なご相談にはできるかぎり目を通しております一方で、すべてのご質問やご相談を掲載したり、個別にご回答できるものではないことをご了承ください。上記ご了解の上でご連絡頂きますようお願いします(メールフォーム)。なお、法律相談は承っておりませんので、法律相談先のご相談は最寄りの法テラスまで、お願い致します。
[リーガルリスクマネジメントの教科書とは?]
日米の法務の知恵がここに融合。法律家・法務部門のポテンシャル、総開花。
条文を引くように、誰しもが独学できる「攻めの法務」の基本書、心を込めて、あなたへ。
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◎ “YES” を実現するため、法務・法律家として伴走します!企業が成長するために必要な、「攻めの法務――リーガルリスクマネジメント」の方法・プロセスを、マンガと講義で体系的に学習できる。
https://www.kajo.co.jp/c/book/07/0701/40940000001
米国企業AirbnbのLead Counsel・日本法務本部長に就く著者が、自らの知識・経験を注ぎ込んだ、企業法務の新しい「教科書」。
【マンガ編のストーリーで「リーガルリスクマネジメント」のプロセスを追体験!】
〈あらすじ〉
大手法律事務所のアソシエイト弁護士である堤かおりは、指示を受けて業界No.1営業代理店「デンエイ」の法務部に出向。事業部の契約書や提案に対し「リスクがあるから“NO”」と回答する日々を送っていた。そんなある日、アメリカ帰りの弁護士・加古川が法務部にやってきて、かおりの「NO」に待ったをかけるようになり……?
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経営支援の観点からリーガルリスクをマネジメントするための最良の書といえる
-名取 勝也 弁護士(アップル、ファーストリテイリング、日本アイ・ビー・エムの元最高法務責任者)
最適解を見出すリーガルリスクマネジメントの神髄を学ぶ渾身の作
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正解のないワクワクする法務へ
-羽深 宏樹 氏(京都大学特任教授)
リスクの解像度を上げてチャンスに変える!スタートアップも必携
-馬田 隆明 氏(東京大学FoundX ディレクター)
まさか、マンガにしてしまうとは! 革新的なリスクテイクの教科書
-平泉 真理 弁護士(グラクソ・スミスクライン株式会社 法務担当取締役)
新入社員の頃の自分に読ませたい
-依田 光史 氏(アビームコンサルティング株式会社 執行役員 CLO)
信頼される法務担当者を目指すならば、本書を読んで自分に向き合ってほしい
-高野 雄市 氏(三井物産株式会社 執行役員 法務部長)
これは、クライアントマネジメントの教科書でもある
-藤原 総一郎 弁護士(長島・大野・常松法律事務所)
産業育成型弁護士の開拓書
-藤井 康次郎 弁護士(西村あさひ法律事務所パートナー)
イノベーションに関わるすべてのロイヤーにとって必読の書
-堀 天子 弁護士(森・濱田松本法律事務所パートナー)
『リーガルリスクがあります』を卒業し、ビジネスと伴走していくための教科書
-前田 敦利 弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー)
マンガで明快! “No”と言わない伴走型企業法務への必読書!
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法務最先端を疑似体験する読者の人材市場価値は向上するだろう
-西田 章 弁護士(弁護士ヘッドハンター)
企業法務に関わる全ての人必読の法的リスク管理の「バイブル」
-松尾 剛行 弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)
法務のマインドセットを学ぶ最良書
-染谷 隆明 弁護士(池田・染谷法律事務所 代表)
理想と現実の狭間で葛藤する企業法務人材に向けた実務必携の一冊
-酒井 貴徳 弁護士(法律事務所LEACT 代表)
あなたの判断で、世界を変えに行こう!
-瀧 俊雄 氏(株式会社マネーフォワード執行役員CoPA)
イノベーションを起こすには、主人公のような法務パートナーが必要です
-吉兼 周優 氏(株式会社Azit 代表取締役CEO)
社会の前進を生みだす「イネーブル法務」に生まれ変わること間違いなし
-門奈 剣平 氏(株式会社カウシェ 代表取締役CEO)
DeNA 時代から「事業部の懐刀」であった戦友の手紙だ
-大見 周平 氏(株式会社Chompy 代表取締役)
(※順不同:肩書は2023年2月時点:個人の見解です)
(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。
渡部先生、相談があります。
相談内容 聞いてください。最近、他部門が法務部の役割について誤解していることがあり、無理な要求をされることが多いです。例えば、なぜか広報部からプレスリリースのURLチェック・使用している画像のライセンスチェック・誤字脱字チェック・脚注のドラフトまでお願いされています(内心、あなたの部署の仕事でしょって思っています)。法務部の役割と限界を他部門に正しく理解してもらう方法はありますか?