
弁護士ランキング2025「トリビア」―目次
弁護士ランキング2025「トリビア」―今週の注目記事
まずは、今年各分野で栄えある首位に輝いた先生方、そして、選出されたすべての先生方に、心よりの敬意(畏敬)の念と祝意を表したいです。 私たち法務部員・インハウスローイヤーが、経営陣を支えるために様々な難題に立ち向かうとき、先生方の知見こそが最強の武器となり、盾となります。
【企業法務全般(会社法)】 企業法務は太田洋弁護士が4年連続首位 ニデックの同意なき買収阻止
太田洋先生、不動の4年連続首位、心からおめでとうございます。企業防衛という究極の局面で、常に新しい判例と実務を切り拓かれるそのお姿は、我々実務家の指針です。
【独占禁止法・競争法】 独占禁止法分野の弁護士、首位は池田氏 企業の内部調査担う
池田毅先生、首位選出おめでとうございます。グローバルな規制環境が激化する中、先生の緻密かつ戦略的なアドバイスに、多くの日本企業が救われています。
【AIガバナンス】 AIガバナンスに強い弁護士、殿村氏がトップ ルール策定に貢献
Airbnbも日本エントリー直後からお世話になっている殿村桂司先生、おめでとうございます。AIという未踏の領域において、ルール形成の段階から社会をリードされる先生の存在は、イノベーションを目指す企業の希望です。
【コンプライアンス】 コンプライアンス分野の弁護士、深水氏が首位 船舶エンジン不正調査
深水先生、首位選出おめでとうございます。深水先生とは、稲谷先生・羽深先生との御縁で京都大学でのアジャイルガバナンスシンポジウムで御縁をいただいた後、企業風土の研究会での登壇の機会をいただいたり、本当にお世話になっております。先日は、ご出張でご多忙の折、Airbnb米国本社にもお立ち寄りいただき、ご受賞心より嬉しく、お祝い申し上げます。
【クロスボーダーM&A】 クロスボーダーM&Aに強い弁護士、大久保氏1位 日米間案件で助言
大久保先生、栄光・最難関部門でのご選出おめでとうございます。弁護士業界の花形であり最も激しい競争領域でのご受賞、本当に頭が下がる思いです。
NO&Tが3部門で首位⋯マネジングパートナーの藤原総一郎先生のご手腕と想像される読者も多いと想像しております、経営陣の皆様にも敬服しております。
改めて、何よりも、数いる弁護士の中で、300人の選出候補となられた先生方には、本当に尊敬の気持ちしかありません。
弁護士ランキング2025「トリビア」―今週の注目記事
掲載紙:日本経済新聞 | 掲載日:2025年12月5日
日本経済新聞社が日経リサーチと共同で実施した本調査。 まず、注目すべきは、企業の回答社数が309社(回収率57.8%)に達し、昨年の277社(51.7%)から大きく伸びている点です。これは、本ランキングが単なる「記事」を超え、法務業界における「標準的な指標」として定着しつつあることを示しています。
弁護士ランキング2025「トリビア」―組織内弁護士の視点
今回は、ランキングの順位そのものではなく、誰もあまり注目していない調査の基礎データである「回答企業リスト」に検討を加えてみました。
過去3カ年(2023〜2025)のリストを詳細に突合・追跡調査した結果、日本の法務組織の「今」を映し出す、興味深いダイナミクスが浮かび上がってきました。
- 2025年版:弁護士ランキング(日経企業法務税務・弁護士調査)概要
- 2024年版:弁護士ランキング(日経企業法務税務・弁護士調査)概要
- 2023年版:弁護士ランキング(日経企業法務税務・弁護士調査)概要
基礎資料は上記のとおりです。では、早速見ていきましょう。カウント〜ダウン(古い)。
▼2025年・回答企業様(五十音順)
IHI、アイシン、アイフル、アクセンチュア、アコム、旭化成、アシックス、ALSOK、アルバック、アルプスアルパイン、アルフレッサホールディングス、安藤ハザマ、アンリツ、イオン、石原産業、出光興産、伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズ、伊藤ハム米久ホールディングス、いよぎんホールディングス、インフォマート、インフロニア・ホールディングス、エア・ウォーター、Appier Group、ANAホールディングス、エーザイ、AGC、エクシオグループ、江崎グリコ、SMC、SMBC日興証券、SGホールディングス、NEC、NTT、NTTデータグループ、荏原、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、王子ホールディングス、大林組、オービック、OKI、オリンパス、オンワードホールディングス、花王、カカクコム、カゴメ、カシオ計算機、鹿島、KADOKAWA、カナデビア、川崎汽船、川崎重工業、関西電力、関西ペイント、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、かんぽ生命保険、キッコーマン、キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン、九州電力、キユーピー、キリンホールディングス、クボタ、熊谷組、クラレ、グリーホールディングス、クレディセゾン、群馬銀行、京王電鉄、京成電鉄、KDDI、京浜急行電鉄、K&Oエナジーグループ、ケネディクス、神戸製鋼所、コーエーテクモホールディングス、コニカミノルタ、小林製薬、コマツ、コムシスホールディングス、サイバーエージェント、サカタのタネ、サッポロホールディングス、SUMCO、参天製薬、サントリー食品インターナショナル、サントリーホールディングス、三和ホールディングス、ジーエス・ユアサコーポレーション、GMOインターネットグループ、GMOペイメントゲートウェイ、JR九州、JR東海、JR西日本、JR東日本、JFEホールディングス、JMDC、ジェイテクト、Jパワー、J・フロントリテイリング、JERA、塩野義製薬、システナ、シチズン時計、島津製作所、シマノ、清水建設、シャープ、ジャパンディスプレイ、信越化学工業、スカパーJSATホールディングス、スギホールディングス、SCREENホールディングス、スズキ、SUBARU、住友化学、住友金属鉱山、住友重機械工業、住友商事、住友倉庫、住友電気工業、住友不動産、住友ベークライト、住友林業、スルガ銀行、セイコーエプソン、セイコーグループ、セイノーホールディングス、西武ホールディングス、セガサミーホールディングス、積水化学工業、石油資源開発、セコム、全国保証、双日、ソシオネクスト、ZOZO、ソニーグループ、ソフトバンク、ソフトバンクグループ、SOMPOホールディングス、第一三共、第一生命保険、ダイキン工業、大成建設、ダイセル、大同特殊鋼、大日本印刷、ダイフク、太平洋セメント、大和証券グループ本社、大和ハウス工業、高島屋、ダブル・スコープ、チェンジホールディングス、千葉銀行、中外製薬、中部電力、ツルハホールディングス、DIC、T&Dホールディングス、ディー・エヌ・エー、DMG森精機、TDK、TBSホールディングス、テイ・エス テック、帝人、テクノプロ・ホールディングス、テルモ、デンカ、デンソー、電通グループ、東海カーボン、東急不動産ホールディングス、東京エレクトロン、東京応化工業、東京海上ホールディングス、東京ガス、東京センチュリー、東京建物、東京電力ホールディングス、東芝、東ソー、東邦チタニウム、東北電力、東洋製缶グループホールディングス、東洋紡、東レ、DOWAホールディングス、TOTO、TOYO TIRE、トクヤマ、戸田建設、TOPPANホールディングス、豊田合成、豊田自動織機、豊田通商、ナブテスコ、ニコン、西松建設、日油、日揮ホールディングス、日産化学、日清食品ホールディングス、日清製粉グループ本社、ニッパツ、NIPPON EXPRESSホールディングス、日本化薬、日本酸素ホールディングス、日本新薬、日本精工、日本製紙、日本製鉄、日本ゼオン、日本ハム、日本郵船、ニデック、ニトリホールディングス、ニプロ、日本IBM、日本板硝子、日本ガイシ、日本航空、日本製鋼所、日本生命保険、日本ライフライン、ニュー・オータニ、任天堂、野村総合研究所、野村不動産ホールディングス、野村ホールディングス、パーク24、パーソルホールディングス、博報堂DYホールディングス、パナソニックホールディングス、阪急阪神ホールディングス、バンダイナムコホールディングス、久光製薬、ビックカメラ、BIPROGY、ヒューリック、ひろぎんホールディングス、ファミリーマート、フジクラ、不二製油、富士通ゼネラル、富士電機、富士フイルムホールディングス、古河電気工業、HOYA、ホクト、北海道電力、堀場製作所、前田建設工業、マキタ、牧野フライス製作所、マツダ、マネーフォワード、マネックスグループ、マブチモーター、マルハニチロ、丸紅、ミズノ、みずほフィナンシャルグループ、三井E&S、三井化学、三井金属、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産、三井不動産、三井松島ホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、三菱ガス化学、三菱地所、三菱自動車、三菱重工業、三菱商事、三菱電機、三菱マテリアル、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ミネベアミツミ、明治ホールディングス、明電舎、メディパルホールディングス、メルカリ、森永乳業、ヤクルト本社、安川電機、ヤマトホールディングス、ヤマハ、ヤマハ発動機、ユニ・チャーム、横河電機、横浜ゴム、吉野家ホールディングス、LINEヤフー、ラウンドワン、楽天グループ、リコー、リゾートトラスト、りそなホールディングス、リンナイ、ルネサスエレクトロニクス、レーザーテック、レオパレス21、レゾナック・ホールディングス、レンゴー、ローソン、ワコムhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG216TT0R21C25A1000000 より抜粋
1. 「沈黙」を選んだ巨人、参入した巨人
投票している企業名のリストの増減(Add/Drop)をつぶさに見ていくと、企業の法務部門が置かれている状況が朧げながら見えてきたのです。
2025年もっとも個人的に驚いたのは、ファーストリテイリングの不在です。
2023年、2024年と連続して回答していた同社ですが、2025年のリストからはその名が消えています。グローバル展開の加速に伴う超多忙ゆえか、あるいは、戦略的なリソース配分の変更か。日本を代表するグローバル・リテーラーの「沈黙」は、逆説的に、注目度を高めます。
一方で、新たにイオンが回答企業に名を連ねました。これまで回答のなかった流通の巨人が参入したことは、法務のプレゼンス強化、あるいはガバナンスに対する対外発信への意欲の表れと言えるかもしれません(または、法律事務所の営業の成果)。
2. JR全社揃い踏みと、トヨタグループの「分厚い陣形」
業界別の動きも鮮明です。 鉄道業界では、今年新たにJR九州が参入し、一昨年回答していたJR西日本もリストに復帰しました。これにより、JR東海、JR東日本と合わせ、上場JR4社の法務部門がこの調査のテーブルに揃ったことになります。インフラ企業における法務の重要性が、全国規模で底上げされている証左かもしれません。
また、製造業の雄、トヨタグループの動向も示唆に富んでいます。 興味深いことに、トヨタ自動車(本体)の名前は3年間一貫してリストに見当たりません。法律事務所に対して平等を期すため、という観点も想像できます(個人の見解です)。
他方、豊田自動織機、豊田通商、デンソーといった主要各社は常連であり、今年はさらにアイシンが新たに加わりました。
「本体は沈黙を守りつつ、グループ全体で圧倒的なプレゼンスを示す」。ここにも、確固たるグループ戦略の意図を感じずにはいられません(単に、超ご多忙であるだけ、または、一貫して回答しない方針なのかもしれません)。
3. アンケート回答は「法務の成熟」か、それとも「義理」か?
回答企業数が309社に増えたことは、表向きには法務部門が「外部弁護士を評価し、業界動向に関与する」という能動的なマネジメント・フィードバック機能を持ち始めたことを意味します。多忙を極める中、あえて回答する時間は、組織としての自信の表れとも言えるでしょう。
しかし、もう少し実務的な(そして少しシニカルな)視点をお持ちの方も業界には存在しています。それは、大きな企業の役職者・法務担当者の元には、ある季節になると、日頃お世話になっている法律事務所の先生方から、丁寧なメールや会食のお願いが届くことがあるそうで、「今年も日経の調査が始まりました…」と。
この回答増の背景には、「いつも無理を聞いてもらっている先生からの頼みだし、投票しておこう」という、日本的な「義理」や「感謝」の側面が強く働いている可能性もあるかもしれなせん(私も回答を依頼されたらそのような観点から投票する可能性は否めません)。 法律事務所側からすれば、今回公表された309社のリストは、単なるデータではありません。「どの企業が投票権(回答権)を持っているか」を示す、極めて重要な「営業の宝の地図」です。
巨大企業グループの中で、どの会社が回答しているのか。担当者とのつながりはあるか。もしなければ、グループ内の他の弁護士を通じて紹介してもらえるか。 リストの行間では、来年のランキングを見据えた、法律事務所と企業の間の熾烈ながらも静かな駆け引きが、すでに始まっていると想像するのもあながち間違いではないでしょう。
4. ランキングに対する「冷ややかな視線」も直視する
こうした背景があるからこそ、インターネット上や法曹関係者の間では、本ランキングに対して批判的な見解も散見されます。公平を期すために、そうした「別の声」も紹介しておく必要があります。
- 「実力か、人気投票か」: どうしても顧客基盤(=票数)を持つ大手事務所や著名な弁護士が有利になりやすく、ニッチな分野で卓越したスキルを持つ「隠れた名医」のような弁護士が評価されにくいという声もあるらしいです。
- 「組織票の懸念」: 日経新聞側も「著しい組織票」は除外するとしていますが、大手事務所が組織的にクライアントへ投票を依頼する「ロビイング力」がランキングを左右しているのではないか、という憶測も存在するらしいです。
それでもなお、私たちがこのランキングに注目するのはなぜか。 それは、批判や政治的な側面を差し引いても、ここに名前が挙がる先生方が「企業の法務担当者を唸らせるもの」をお持ちであることが紛れもない事実だからです。リストの行間には、順位以上に雄弁な「日本の法務の人間模様」が隠されているのかもしれませんが、それでも大切なリストなのだと思います。
弁護士ランキング2025「トリビア」―アカデミックな視点からの考察
最後に、少し視座を上げ、このランキングが「個人の成長」や「法曹界全体」にどのような影響を与えるのか、学術的な知見を借りて分析します。
1. 「情報の非対称性」の解消とシグナリング機能
経済学の視点から見れば、法務サービスは典型的な「信用財(Credence Good)」です。依頼者は、サービスを受ける前はもちろん、受けた後でさえ、その品質を正確に評価することが困難です(情報の非対称性)。
この状況下において、ランキングは市場に対する強力な「シグナル」として機能します。つまり、 「日経のランキングに入った」という事実は、批判されている方からするとその弁護士の能力を客観的に保証するものではないかもしれませんが、少なくとも「多くの依頼者や同業他社が信頼している」という社会的証明(Social Proof)となります。そして、弁護士にとっては、キャリアの階段を駆け上がるための重要な「評判資本(Reputational Capital)」の蓄積装置として機能します。
2. 「リアクティビティ」の功罪―測定されることで行動が変わる
しかし、ランキングには副作用もあります。
アメリカの社会学者、EspelandとSauderは、ロースクールのランキング研究においてですが、「リアクティビティ(Reactivity)」という概念を提唱しました(Espeland, W. N., & Sauder, M. (2007). Rankings and Reactivity. American Journal of Sociology)。
これは、「人は評価指標(ランキング)を意識するあまり、本来の目的よりも、指標を良くするための行動をとるようになる」という現象です。 これを法曹界に当てはめると、本来「クライアントのために法的課題を解決する」ことが目的であるはずが、「ランキングで票を集めるためのネットワーキングや露出」に過度なリソースが割かれるリスク(Goal Displacement)を示唆しています。
3. 「マタイ効果」への懸念
もう一つの懸念は、科学社会学のロバート・マートンが提唱した「マタイ効果(Matthew Effect)」です。「持てる者はさらに与えられる」という現象です。一度ランキングで上位に入ると、注目が集まり、さらに良質な案件が持ち込まれ、経験値が上がり、翌年も票が集まるという「成功の循環」が生まれます(それが良いことなのか、悪いことなのか⋯これはどの立場にたっているかで異なります)。
一方で、同等の能力を持ちながらランク外にいる弁護士(がもしいれば)その方にはチャンスが回りにくくなる可能性があります。この「格差の固定化」は、業界全体の新陳代謝を阻害する可能性があるという見方もできるかもしれません。
個人的には法律事務所の定年制という構造やランキングの変遷などを考えると、アカデミックにはそうかもしれないが、現実の問題としては「そこまでの懸念かしら?」とは思います。また、「同等の能力を持ちながらランク外にいる弁護士」が存在するとして、ランキングに入ってる先生は、必ずしも巨大法律事務所だけではなく、例えば、私がDeNA時代から同じインハウスとして様々な苦難を一緒に乗り越えてきた染谷先生のI&S(池田染谷法律事務所)のようにブティックファームも存在するところ、必ずしも組織の規模だけが力ではなく、むしろ、個々の「営業力(の戦略)」「対外発信力(の戦略)」なども経営者または個人事業主たる弁護士にとっては大切な能力であり、その能力が結実したのがこのランキングという見方もできると思います。
まとめると、「持てる者はさらに与えられる」というある種の不満・羨望は私も理解できますが、実際のところ、つぶさにランキングを見ると、良いサービスの上に、投票してもらうに足りる(最初に名前を思い出してもらえる)信頼やブランドを築かれている点は見逃せません。依頼者として、一般論として、ここでお名前が上がっている先生方は、高い人間力や人格力で、クライアントを魅了する側面をお持ちであるがゆえにランキングに入っているとも言えるかもしれません。
4. 代替案の提案
なお、検討として、「隠れた実力者」(emerging lawyer)を発掘し、票を投じるカテゴリがあっても面白いのかなと思います。
同時に、書いていながらあれですが、私が法律事務所の経営陣であれば、若手を売り出すために、きっちりとこの新しいカテゴリについても票田を抑えに行くため、カテゴリを無用に新設してもあまり意味がないのかなとは思います(ただ、next generationの賞はあってもいいなと思います)。
結びに代えて
さてさて、長くなりましたが、ランキングは、それ自体がゴールではなく、個々の先生方の卓越されたお仕事が結果的にクライアントの心に響き、1票につながっているというプロセスの話だと思います。
私を含む弁護士・組織内弁護士にとって、これらのスター弁護士の輝きを目の当たりにしつつ、謙虚な気持ちで「自らの仕事が市場にどう評価されているか」を知るフィードバック・ループとなり、「健全」な競争心(Emulation)を刺激するものであれば、日本の法務力の底上げにつながるのだと思います。
組織内弁護士や法務の方で、時々、企業でお話をするのは、クライアントが固定され、営業しなくても相談者に来ていただける社内の法務部門は、それが当たり前であると思ってしまうリスクがあります。これは『成長を叶える組織内弁護士の教科書』において、西田章弁護士の警鐘として取り上げたところです。
「この日経弁護士ランキングの上位に選出されたスター弁護士に鍛え上げられた部下たちが、明日、もし自分の法務部に転職してきたら?上司のポジションが空いたとき内部・外部の候補者が争うポジションになったら自分は選ばれるか?」
―常に緊張感をもって仕事をしたいと常々思っております。
私たちもまた、(回答権をお持ちの大きな会社様であれば)一票の重みを感じながら、回答権がなくても来年の「法務の物語」を現場で紡ぐ一員でありたいと思います。
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(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。




日本経済新聞の月曜版「税・法務」は、多くの法務部門や弁護士の方がご覧になっていると思います。今週の注目記事を取り上げながら、皆さまのご意見も伺えれば幸いです。学びの途中ではありますが、情報交換の場として活用いただければと思います。
さて、🎅ジングル・ベルの音が街に聞こえてくる今日このごろ、毎年恒例の日本経済新聞「弁護士ランキング」の季節です。
結果にドキドキされている外部弁護士の先生方(マネジングパートナー含む経営陣の皆様)、そして、先生方のファンである法務の皆様、誰もがそわそわしてしまいます。
かたや、組織内弁護士の渡部も、同期や敬愛する先生方のお名前を見つけては喜び(お祝いのお花を手配したり)しています。 同時に、①このランキングをとりまとめている少数精鋭の日経「税・法務」チームの皆様のご苦労に想いを馳せたり、②(クライアントに高評価をお願いする事務所の経営陣以外は)ほとんど誰も見向きもしない「調査概要」から何か面白い発見をしようとワクワクしております。
と、そのとき⋯⋯取材班に異変が⋯⋯このランキング⋯⋯おわかりいただけただろうか。