本日の「ハーバード・ビジネス・レビューを読もう」の目次
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Amy C. Edmondson and Michaela J. Kerrissey (2025). What People Get Wrong About Psychological Safety – Six misconceptions that have led organizations astray, Harvard Business Review, 103(3), 52-59.
全体像丨わかりやすくまとめてみる
<わかりやすくまとめてみる> 本論文の主題である「心理的安全性」を理解するには、多くの方が大学時代に経験した「ゼミ発表 🙋」を思い浮かべると分かりやすいです。ゼミでは、発表者だけでなく聴き手も自由に質問や意見を出し合うことで、議論が深まります。しかし、「教授に怒られないように静かにしておこう」と沈黙が続くと、間違いや新しい視点が見えなくなり、最終的にゼミ全体の学びが浅くなってしまいます。心理的安全性とは、この「遠慮なく問いを投げ、互いに率直に意見を交わせるゼミ」をつくることです。心地よく仲良しでいる「仲良しクラブ」をつくることが目的ではありません。むしろ、ときには耳が痛い指摘も歓迎し、「良い意見は称賛し、問題点は建設的に指摘する」文化を保つことで、ゼミ生全員が成長できます。さらに、学期ごとに発表の進め方やフィードバック方法を見直していくことが、安全な議論の場を持続させる鍵になります。
個別丨本日のポイント
- 筆者は、心理的安全性は、法律やトップダウン命令では生まれず、「対話の質」が安全性を育てると主張します。
- 2024年4月、Rhode Island 州上院は Bill 2473A「Workplace Psychological Safety Act」を可決しましたが、著者らは「安全性は政策で強制できない」と指摘します。
- 安全な風土はメッセージング・モデリング・メンタリングの 3 つのリーダー行動と、現場の相互作用によって醸成されるためです。
- たとえば、PepsiCo UK は毎週の成果・学習共有で「ビッグリビール」を排除し、Microsoft Western Europe の Cindy Rose は CEOであるSatya Nadella のミッションを軸に週次 Office Hours と「Failure Party」を導入しました。
- 保険会社では営業部とコンプライアンス部が共同でプロセスを再設計し、残業削減と業務速度向上を実現した例もあります。
- これらの事例の共通点は、高品質な会話、すなわち、情報共有と探究を両立させ、進捗を定期的に点検する儀式であることです。心理的安全性はローカルに変動しやすく、誰もが質問し、傾聴し、建設的に応答することで「マイクロクライメート」を形成できると筆者は説きます。不確実性を乗り越えるには、トップから現場までが対話を設計し、学習ループを回し続けることが、結局は、遠回りに見えて近道なのです。
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(了)
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「勉強時間なんて、忙しすぎて確保できない」と悩む方は多いものです。私は30代前半に他責の姿勢を改め、早朝学習に活路を見いだしました。現在も毎朝4時台に起床し、机に向かっております。この場では、英語版Harvard Business Review(HBR)最新号に掲載された論文をゆっくり読み、講演や執筆で活用できそうなものを備忘録としてまとめています。事業部を支える法務部や組織内弁護士だからこそ、毎週火曜日と金曜日にご一緒に専門外の最新知見に触れてまいりましょう。なお、これは私的な備忘録であるため、内容に誤りが含まれる可能性がございます。原文をお手元でご確認の上、ご検討いただければ幸いです。
(*)英語力が乏しいためノロノロとテクノロジーの力を借りて整理しています。学びがある雑誌で、私もファンの1人です。よろしければ、HBR定期購読(定期購読サイト)をご検討ください。