*このコーナー(投稿)は、将来、論文・プレゼンテーション・会議・報告書・国内外の上司・同僚との会話に利用できそうな有意義な定義・データ・リンクを短くまとめたものです*
現役の経済産業省 商務情報政策局の課長補佐お2人がご登壇された貴重なセミナー
非常に勉強になるセミナーでしたので、そのエッセンスを復習を兼ねてまとめました。テーマに惹かれて、というのは建前でして、登壇された経済産業省の任期付公務員の弁護士のお二人は、実は東京大学法科大学院の同級生と金融商品取引法ゼミの後輩でございまして、お二人のお元気な姿を見に行くというのが7割でございました。
開催趣旨
データ契約への関心が高まっている。日本では、経済活動の糧を「リアルデータ」に求める動きが急である。たとえば、2018年6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018-「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革-」では、サイバーセキュリティ対策に万全を期しながらそのデータ利活用基盤を世界に先駆けて整備することが高らかに謳われている。
端的に言えば、21 世紀のデータ駆動型社会では、経済活動の最も重要な「糧」は、良質、最新で豊富な「リアルデータ」で、データ自体が極めて重要な価値を有することとなり、データ領域を制することが事業の優劣を決するという。
ものづくり、医療、輸送など、現場にあるリアルデータの豊富さは、日本の最大の強みであり、サイバーセキュリティ対策に万全を期しながらそのデータ利活用基盤を世界に先駆けて整備することにより、新デジタル革命時代のフロントランナーとなることを目指す、とされている。
「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」は、データ利活用基盤の中でも最も核心的なものの1つである。世界に先駆けて策定された詳細な同ガイドラインでは、民間事業者等が、データの利用等に関する契約やAI技術を利用するソフトウェアの開発・利用に関する契約を締結する際の参考として、契約上の主な課題や論点、契約条項例、条項作成時の考慮要素等が整理された。データ利用に関する契約について、これほど詳細なガイドラインは世界に例を見ない。
同ガイドラインは、国内の当事者同士だけでなくクロスボーダー取引についても想定しているものの、契約を取り巻く環境は急速に変わりつつある。たとえば、IoT、AI 等の情報技術が進展する第四次産業革命を背景に、ビッグデータ等の利活用推進を目的として、いわゆる「限定提供データ」の不正取得、開示等の行為が「不正競争」行為に位置付けられ、これに対する差止請求等の民事上の救済措置が平成30年の改正不正競争防止法により新設された。また、IoTやAI等の技術革新によってデータが爆発的な増加に伴い、事業者間の垣根を超えたデータ連携により、新たな付加価値の創出や社会課題の解決が期待されているのは、日本だけではない。海外でも、データ契約への関心は高まっている。
欧州でも、簡易なガイドラインが公表され、欧米ではスマート・コントラクトに関する議論がすでにはじまっている。
個人情報をはじめとする重要データのクロスボーダー移転についても、EUのGDPR、中国のサイバーセキュリティ法、米国カリフォルニア州の消費者プライバシー法など、近年より急速な変化が見られ、海外事業者とのデータ契約にあたってはこうした世界の法制度に関する理解も不可欠となる。 以上のような背景を受けて、今回のワークショップでは、データ契約の未来について、専門家とステイクホルダーの方々にお集まりいただき、あるべきデータエコノミー社会に向けて議論を深めたい。
この軽く10時間はかかりそうな最新テーマをトークセッションも入れて合計90分でまとめる、という企画。
1人あたり15分…これは1番大切なエッセンスが逆にうかがえるのではないかと思い参加しました。
セミナーのエッセンス
産業構造が大きく変化:2つの大きな流れリアル→ネット [ドイツのIndustory 4.0 – 基幹産業である製造業の生産性向上])、そして、ネット→リアル(GAFAなど)
Q:ではこの産業構造の変化の中、「日本」が、国家として、何を勝ち筋としてみていくのか?パーソナルデータ vs 産業データ どっちでいく?
→産業データの方がブルーオーシャン。パーソナルデータの方はもうGAFAとか一杯でレッドオーシャン。両方大事だけど「産業データ」もっと深掘りしよう。→ エッジヘビーコンピューティング(分散型AI、AIチップ)・応答速度/データ保護が課題<工作機器等、機器の稼働状況、熟練の技術、音・振動><生物資源/ゲノムデータ><自動車>
→日本の強みを整理すると…
多様で活用可能性の高いリアルデータの構築
モノの強さ(先進技術を早く取り込む)
社会課題の先進性
情報の利活用 と 情報の保護 の両面でサポート。色々ある政策はこのマトリックスでみるとよくわかる。「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」はそれ自体の作成プロセスがイノベーションとも言える。委員は「公募」これは珍しい。また、実際のUSE CASEでディスカッションしたのも特徴。
1番の肝は、データは「所有権・占有権・用益物権・担保物権の対象とならない」こと
無体物…知的財産権によるデータの保護?
著作権 ☓ 機械的に創出
特許権 データそのものは発明ではない
意匠権 視覚を通じて美観を起こさせるものではない
営業秘密 流通が予定されていないデータは秘密管理性や非公知性の要件<そこで>「契約」による保護。このガイドラインは「手引書」のように使ってほしいというのが願い。
なぜ国が?
・弁護士は守秘義務があるので必ずしも契約書を広く最適化することに制約がある
・役所を情報・議論を集約して整理する機能として活用。フォーラム。
私見:改めて、政府の資料に何度も書いてありますが、「情報の利活用 と 情報の保護」「パーソナルデータ vs 産業データ」の両軸でみると経済産業省のゴールが凄くクリアに見えてきます。このアジェンダにどうのっかっていくかという視点からも上記のエッセンスを抑えたいです。
セミナー内容とは無関係ですが、正確な規制・ルールメイキングの情報を丹念に集めていると、新聞での近時のGAFAに関する報道が、先走りであることを感じさせる今日このごろです。
深掘り資料【
(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。