『AI弁護士業』第9回丨文書自動化と契約分析―あなたの収益源を革新する[3/3]丨海外名著📕を一緒に学ぶ

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
『AI弁護士業』第9回丨文書自動化と契約分析―あなたの収益源を革新する[3/3]丨海外名著📕を一緒に学ぶ

William Liu, AI-Powered Law Practice: Boost Efficiency and Profits with AI – A Practical Guide for Solo and Small Law Firms (The AI Business Series, paperback ed., July 30, 2025).  

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毎週日曜日の朝に更新し、日本ではまだ翻訳されていない名著に光を当ててまいります。日本の「弁護士業界」においても、規模を問わず、日々の業務を効率化するためにAIをどのように活用するかが議論されております。

しかし⋯すでに答えが示されているのではないか、と唸らされたのが『AI-Powered Law Practice: Boost Efficiency and Profits with AI』(Amazonでハードカバを購入)という原典でございます。私はAmazonにて原典(ハードカバー)を購入いたしました。これからユースケースを模索し、コミュニティーで議論を重ねることも大切ですが、むしろこの英語で記された原典を丁寧に読み解くことの方が、日本全体にとって大きな学びにつながるのではないかと感じ、新しい書籍としてご紹介させていただきます。

もっとも、私自身もまだ学びの途上にございます。本ブログでは、原典に深い敬意を払いながら、私が理解した範囲を例え話とともに整理し、基礎的な部分のみを備忘録として独自にまとめております。そのため、ぜひ直接原典にあたっていただくことを心からお勧めいたします。

わかりやすく例えると?

🍔 私は鳥取県鳥取市出身なのですが、小さい頃、市内にマクドナルドって市街地に1軒しかなかったのです(実話)。ですので、鳥取の郊外にある小学校では「週末、家族でマクドナルドいったんだぜ!」「すげえ!」「いいなあ」という話があったものです。さて、本日から12/14, 21, 28と年内3回で扱う第3章の内容は「ハンバーガーショップ経営」にたとえると分かりやすいです。手作業で全ての工程をこなす店と、自動調理機器や注文管理システムを導入した店とでは、売上と利益に大きな差が生まれます。

⏱️ 手作業では1つのハンバーガーを作るのに10分かかりますが、自動化を導入すれば2〜3分で完成します。同じ1時間で作れる数が4倍になり、料金を少し安くしても、利益はむしろ増えます。

💴 事例として、ある店は導入前に年商約2,700万円、1日数十個の提供で精一杯でした。自動化後は同じスタッフ数で年商約1.4億円、1日数百個を提供できるようになり、利益率も3倍近くに伸びました

🛠️ 自動化機器には「①基本のテンプレート型」「②条件に応じて変えるロジック型」「③さらに改善点を提案するAI型」の3種類があり、組み合わせることで効率と品質が最大化されます。

📈 この仕組みを取り入れた店は、スピードと正確さで顧客の信頼を得て、同日配達や大量注文への対応も可能になります。結果として、他の店は価格でしか勝負できず、競争から脱落していきます

🎯 つまり弁護士業の世界でも、文書自動化と契約分析は「調理の自動化」と同じであり、効率・利益・信頼を一気に引き上げる武器になるのです(と書かれている⋯と思いますが毎度のことながら例えが完全に正しいかは自信がございません)。

エコシステムと実装設計の要諦

原著の著者は、米国の事例として、基盤はテンプレート型、ロジック型、AI型の3層で設計し、用途に応じて併用することが最適であると提案している。どういうツールを指すのだろうか?

  • テンプレート組立てはHotDocs、Contract Express、TheFormTool
  • 業務統合ではSmokeballやClio
  • 契約分析ではKira Systems、Luminance、LawGeex、ThoughtRiver
  • 選定の勘所は、既存システムとの統合性、学習負荷、拡張性、データ可搬性、サポート品質である、と述べる。
  • 実装は週次作成の定型文書から着手し、変数抽出、最小機能テンプレートの反復改良、過去データでのテスト、段階展開とスタッフ訓練を踏む。これにより、自動化は省力化にとどまらず、価格戦略、ボリューム受託、即応交渉支援を可能にする収益装置へと昇華されると紹介している。

お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。日本の弁護士業界全体のお役に立てば幸いです。

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(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。