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『AI弁護士業』第2回丨AI革命がきた⋯弁護士業が変わった[2/3]丨海外名著📕を一緒に学ぶ

図表・データ | 組織内弁護士研究ノート® | 法務部とインハウス弁護士の金貨
『AI弁護士業』第2回丨AI革命がきた⋯弁護士業が変わった[2/3]丨海外名著📕を一緒に学ぶ

William Liu, AI-Powered Law Practice: Boost Efficiency and Profits with AI – A Practical Guide for Solo and Small Law Firms (The AI Business Series, paperback ed., July 30, 2025).  

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毎週日曜日の朝に更新し、日本ではまだ翻訳されていない名著に光を当ててまいります。日本の「弁護士業界」においても、規模を問わず、日々の業務を効率化するためにAIをどのように活用するかが議論されております。

しかし⋯すでに答えが示されているのではないか、と唸らされたのが『AI-Powered Law Practice: Boost Efficiency and Profits with AI』(Amazonでハードカバを購入)という原典でございます。私はAmazonにて原典(ハードカバー)を購入いたしました。これからユースケースを模索し、コミュニティーで議論を重ねることも大切ですが、むしろこの英語で記された原典を丁寧に読み解くことの方が、日本全体にとって大きな学びにつながるのではないかと感じ、新しい書籍としてご紹介させていただきます。

もっとも、私自身もまだ学びの途上にございます。本ブログでは、原典に深い敬意を払いながら、私が理解した範囲を例え話とともに整理し、基礎的な部分のみを備忘録として独自にまとめております。そのため、ぜひ直接原典にあたっていただくことを心からお勧めいたします。

わかりやすく例えると?

🚖 本章は「法律事務所=個人タクシー運転手」にたとえると分かりやすいです(多分)。AIは高性能ナビと配車アプリ、自動精算の総合ツールで、同じ車でも速く正確に、安定した品質で走れるようにする道具です。

  • 🗺️ 第1段階は「超賢いナビ」です。判例や法令という道路網を一瞬で検索し、最短経路を提示します。迷走が減り、到着予測が正確になります。
  • 🧰 第2段階は「自動点検と積み込み」です。契約書や証拠の下ごしらえをAIが一気に処理し、運転手は運転に集中できます。
  • 🧠 第3段階は「統合ディスパッチ」です。予約受付、スケジュール、料金見積、到着予測をひとつの画面で最適化し、1日の走行計画が滑らかになります。

⏱️ 以前は3〜5時間かかった下調べが45〜90分で終わるので、同じ労働時間で乗車回数が増えます。渋滞回避も精度が上がり、遅延が減ります。

📈 料金と売上も改善します。早く正確に到着できる運転手は指名が増え、紹介が増え、月次の売上が25〜50%伸びやすくなります。

🧪 導入は「30日でナビ導入、次の30日で運行動線の最適化、さらに30日で専門機能追加」という90日プランが安全です。

🛡️ 品質と倫理は「最終判断=ドライバー」に残します。AIが経路や料金を示しても、危険道路や顧客事情は人が確認します。記録と説明を徹底すれば、信頼と満足度が上がります。

本日のメモ📝したい学び
  • 著者は、冒頭に「ROIの現実と競争優位化のタイムライン」を具体的に示す(具体的ですごいと個人的に感じた👏)。
  • 筆者は、弁護士に対して、「待機は損失、行動は投資」であることを具体的数値で示す(詳細は原典をご高覧いただきたい)。
  • 弁護士が、座して未導入のまま12か月待てば、追加稼働機会として2,250万円を失うという。
  • 一方、主要AIの費用は、総額は月450〜1,300ドル(約6.8万〜19.5万円)に収まる。
  • 筆者は、投資回収は通常30〜60日程度と論じる。
  • その核心は調査時間の圧縮にあり、複雑案件のリサーチが3〜5時間から45〜90分へ短縮され、案件当たり875〜1,575ドル(約13万〜24万円)を回収し、月15〜25件なら月32〜62時間の余力、すなわち月11,200〜21,700ドル(約168万〜326万円)、年134,400〜260,400ドル(約2,016万〜3,906万円)の効果を見込む。
    • (なお、個人的には上記は日米🇯🇵🇺🇸のアワリーチャージの格差があることは差し引いて考える必要がありそうだ。)
  • 筆者によれば、AI受付により、弁護士/法律事務所の見込み客の成約率は40%改善するとし、タイムラインは、1〜3ヶ月で週8〜12時間の回復、4〜6ヶ月で納期25〜40%短縮とサービス優位、7〜12ヶ月で売上25〜50%増、2年目以降は市場での優位確立である(らしい)。

お休みにお目通しをいただき、ありがとうございます。日本の弁護士業界全体のお役に立てば幸いです。

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ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。


(了)

※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。