Problem Statement(問題の所在)丨 従来、「新しい法律(新法)」を研究する際には、国会及び行政における検討会・審議会の公開資料が検討されてきました。ところが、内閣法制局に必ず提出される法案及びその論点を解説した「内閣法制局資料」については十分な研究対象とされていませんでした。そこで、「組織内弁護士研究ノート」では、2018年以降管理人が実施している、行政文書開示請求を通じた新法研究の一端を共有させていただきます。
他の開示請求と異なり、本請求は特に大きな力を入れて「内閣法制局審査」のプロセスを詳細に勉強させていただくために、最終版となる前の審査プロセスの行政文書の開示をお願いいたしました。成功した事例は、過去の個人情報保護委員会の1例にとどまり、丸ごと拒絶されると予想されておりましたが、公正取引委員会様が真摯にご検討くださり、開示決定をいただきました。他方、まだ開示された資料には接していないため、開示されたがほとんど黒塗りという可能性もございます。お忙しい国会対応の中、このような寛大なご開示をいただきました公正取引委員会様に感謝申し上げるとともに、昼夜激務で作られたこの資料をしっかりと勉強させていただきます。
開示手数料は約1万3000円と、最終版をお願いする場合にかかる手数料比約1300倍でした。しかし、本法案は、検討段階以降、内閣法制局審査において、法案の形が何度か変わったという話を耳にしていたため、特に、内閣法制局がどのような点に懸念を示し、これに対して、公正取引委員会のPolicy Maker達が応答していったのかを丹念に追いたいです (if 黒塗りでなければ)。
令和6年 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案[いわゆるスマホ新法](公正取引委員会)
2024年に、下記の開示決定をいただきましたのでお知らせいたします。
内閣法制局資料は、私にとって行政官に対する最大の敬意を抱く殊玉の超一線級資料であり、おそらく、undervalueに置かれた資料であったと考えています。実務家・研究者が、内閣法制局資料の研究を通じて、我が国の法制技術を支える行政官に敬意を表し、より奥の深い新法の研究が発展することに役立てば幸いです。
[関連記事]
***
内閣法制局資料の研究に関しては下記拙稿をご高覧ください
内閣法制局資料そのものは、本サイトでは公開しておりません。なぜなら、上記の通り、私にはリスペクトの対象であるため、興味本位ではなく真に業務または研究に当該資料を要する方に共有先は限定すべきと考えているためです。研究で当該資料をご入用とされる場合には、Happy to helpでございますので、どうぞ下記メールフォームからお問い合わせください。その際、どのようなコンテキストで必要かについて教えていただけますとありがたく存じます。
***
ご相談・講演のご依頼などはこちらからご連絡を賜れますと幸いです。
(了)
※記事に関しては個人の見解であり、所属する組織・団体の見解でありません。なお、誤植、ご意見やご質問などがございましたらお知らせいただければ幸甚です(メールフォーム)。