新規論説丨渡部友一郎「法律業務が楽になる心理学の基礎(13) 産業・組織心理学から見た社会的手抜きと働く意義」月刊登記情報755号(2024年)72-76頁

お世話になっております。心理学(学士)・認定心理士で学んだことを共有したいと考え、一生懸命に執筆にも取り組んでおります。連載情報の更新です。

渡部友一郎「法律業務が楽になる心理学の基礎(13) 産業・組織心理学から見た社会的手抜きと働く意義」月刊登記情報755号(2024年)72-76頁

社会的手抜きがテーマです

社会的手抜きは、学校、職場、日常生活など様々な場面で見られる現象です。以下に具体例を挙げてみます。

  1. 学校でのグループ作業
    生徒がグループに分かれて作業を行う際、特定のメンバーが他の人に任せすぎてしまい、ほとんど何もやらない人とかいませんでしたか?実はこちら、わざとではなくて、「社会的手抜き」の仕業なのです。結果、一部の生徒がほとんどの仕事を引き受けることになり、他のメンバーが責任を逃れる状況が生まれがちです。
  2. 職場でのプロジェクト
    会社のチームプロジェクトでは、個々のメンバーが自分の責任感を感じにくくなり、他のメンバーが仕事をカバーしてくれるだろうと考えて努力を減らすことがあります。特に、リモートワークや大規模なチームで発生しやすく、各自の役割が明確でない場合に顕著です​。DDレポートを作る際に、めちゃくちゃ隅から隅まで働いているアソシエイトがいれば、忙しそうにしているけど実は上からみたら分担が公平ではないことはよく聞く話です。
  3. 投票行動
    また、政治的な投票でも、社会的手抜きが見られると教科書に書いてあります。特に大規模な選挙では、自分の1票が結果に大きな影響を与えないと思い込み、投票を控えるケースがあります。これも、他の人が「ちゃんと」投票してくれるだろうという期待によって生じるものです。まあ自分がいかなくても、ちゃんと◯◯さんが選ばれるだろう、今回はレジャーを優先しよう、という気持ちなどはその一端かもしれません。

これらの例は、社会的手抜きが日常の様々なシチュエーションで見られることを示しており、グループ内の責任分担や動機付けが不十分な場合に特に顕著に現れます。

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(了)

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